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省エネ計算とは?建築物のエネルギー効率を示すための方法

省エネ計算は、持続可能な建築と環境保全に大きく貢献する計算手法です。省エネ計算を行い、エネルギー効率を最適化した建築物を設計することで、エネルギー消費とCO2排出量削減削減を実現します。こうした取り組みは、地球環境への影響を考慮した建築に不可欠です。
また、長期的な環境保護に向けた重要なステップでもあります。
この記事では、環境に配慮した建築物を実現する省エネ計算について詳しく解説します。

省エネ計算とは?

省エネ計算

省エネ計算は、建築物の省エネルギー性能を数値で表す方法です。これは、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」に基づき、建築物が定められた省エネ基準に適合しているかを判断する際に使用されます。

省エネ計算では、建築物の外皮(壁や窓など)の断熱性能を具体的な数値で表します。
また、建築物の空調や照明などの一次エネルギー消費量を個別に求めます。
そしてそれを合計した総エネルギー消費量を算出します。

省エネ基準の改正について

1997年の京都議定書採択をきっかけに、日本は地球温暖化対策を重視する方向へとシフトしました。
この変化は、2013年に行われた大幅な法改正で顕著になります。特に建築物における省エネルギー性能の総合的な評価の重要性が高まりました。
2015年には、住宅・建築物に特化した「建築物省エネ法」が制定され、段階的に誘導措置と規制措置が施行されるようになりました。
2021年の改正では、省エネ基準が更に厳格化されました。中規模建築物も適合義務の対象になり、小規模建築物には説明義務が追加されました。この改正は、家計に影響を及ぼす光熱費の上昇に対応し、現代の省エネ性能に対する関心の高まりを反映しています。

省エネ計算が必要な理由

省エネ計算は、建築物の環境負荷を減らすために欠かせません。それは、省エネ計算を通じて建築物のエネルギー消費性能が明確になるからです。エネルギー消費性能が可視化され、一次エネルギー消費量の削減を意識した建築物が増えることで、化石燃料の使用を抑制できます。設計段階から効率的な省エネ構造やシステムの導入を検討することで、エネルギー消費が長期にわたって削減されます。持続可能な建築と環境保全のために、省エネ計算はとても重要です。

省エネ計算の内容

省エネ計算

省エネ計算は「一次エネルギー消費基準」と「外皮基準」の二つの要素に基づきます。一次エネルギー消費基準は建築物全体のエネルギー効率を数値化する基準です。対して外皮基準は住宅の断熱性能と日射熱取得を評価する基準です。

一次エネルギー消費量

一次エネルギー消費基準は、建築物のエネルギー消費量を評価する基準です。建築物の実際の設計仕様に基づいて算定した一次エネルギー消費量が、標準的な仕様で算定した基準一次エネルギー消費量以下となることを目標とします。この比率をBEI(Building Energy Index)と呼びます。

BEI = 設計一次エネルギー消費量 /基準一次エネルギー消費量

新築はBEIが1.0以下、既存建築物の場合は1.1以下であることが求められます。

外皮性能

外皮基準は主に住宅建築物に適用される基準で、窓や外壁などの断熱性能を評価します。この基準はUA値(外皮平均熱貫流率)とηAC値(冷房機の平均日射熱取得率)で構成されます。これらはそれぞれ建物の熱損失と日射熱取得の効率を示す指標。

UA = 外皮総熱損失量/外皮総面積

ηAC = 総日射熱取得失量/(外皮総面積*100)

これらの値が地域区分に応じた基準値以下であることが求められます。

省エネ計算のメリット

環境への貢献

省エネ計算には以下のメリットがあります。

  • エネルギーコストの削減
  • 環境への貢献
  • 居住環境の向上

エネルギーコストの削減

省エネ基準を満たした建築物を作ることで、エネルギーの使用効率が高まります。それによって長期的に見て、大きなコスト削減が期待できます。エネルギー消費を効率化し、電気や熱などの使用量を減らすことができるからです。
例えば、省エネ計算を活用して「ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」の基準を満たす住宅が増えています。ZEHは年間のエネルギー収支を計算上ゼロにすることを目指した住宅です。太陽光発電などの再生可能エネルギー源と高い断熱性能を組み合わせて、光熱費を大幅に削減します。これにより、家庭のエネルギーコストは限りなくゼロに近づきます。つまり、省エネ計算は経済的な利益をもたらす重要な手段にもなるのです。

環境への貢献

省エネ計算は、環境問題にも大きく貢献します。エネルギー消費量の可視化によって、省エネ性能を意識した建築物が増えるからです。ZEHやZEBなどの建築物は、省エネ計算でエネルギー消費が少ないことを証明しています。このような建築物は、温室効果ガスの削減に大きく貢献します。省エネ計算は、持続可能な環境を支える重要な役割を担っているのです。

居住環境の向上

省エネ計算をすることで、建築物のエネルギー効率の向上を目指せます。エネルギー効率を上げることで、居住環境の質が向上するという利点もあります。これは、エネルギー効率の高い建築物が適切な温度管理と快適な室内環境を提供するためです。高い断熱性能を持つ建物では、夏は涼しく、冬は暖かく保たれます。年間を通じて快適な生活空間が確保されるのです。居住者は不快な温度変動から解放され、健康や生活の質が向上します。このような建築をつくるためには専門知識や技術を必要としますが、省エネ計算を行えば論理的に証明できます。

省エネ計算のデメリット

デメリット

省エネ計算には次のようなデメリットもあります。

  • 外注する場合に費用が発生する
  • 専門知識が必要
  • 建築計画の制限

外注する場合に費用が発生する

省エネ計算を外注することで費用が発生します。各事業所でこの省エネ計算を行っていることもありますが、大きな手間がかかるため、専門の省エネ計算代行会社に依頼するケースも少なくありません。費用の相場は5~10万円前後。作成する資料や建築の規模によっては追加費用がかかることも考慮しましょう。

専門知識必要

省エネ計算には専門知識を必要とします。建築物のエネルギー効率を計算するためには多様なデータの把握と計算が必要だからです。省エネ計算では専用のソフトウェアを使用することが多いですが、このソフトウェアを使って計算を行うには、まず省エネ計算の内容を理解して、実際の数値の把握や根拠となる資料を用意する必要があります。専門知識がなければなかなかうまく進まない作業になります。

建築計画の制限

省エネ計算は建築計画に一定の制限をもたらします。基準に適合するためには特定の設計要素や材料の使用が必要であり、それが設計の自由度を制約するからです。省エネ基準に準拠するためには、高効率の断熱材の使用や特定の窓ガラスの選択、エネルギー効率の高い設備の導入などが求められることがあります。これにより設計者は、デザインとのバランスを意識しながら、エネルギー効率の基準に適合させる必要があります。特に、古い建築物の改修や独特なデザインを採用する場合は、これらの制約がより顕著になります。建築計画の制限は省エネ計算における重要な考慮事項であり、エネルギー効率と自由な設計とのバランスを見つける必要があります。

省エネ計算のやり方

省エネ計算のやり方は以下のような方法があります。

  • Webプログラムを使用する
  • 有料ソフトで計算する
  • 省エネ計算代行会社に依頼する

Webプログラムを使用する

Webプログラムは国土交通省が開発協力を行っている省エネ計算ソフトです。

専用ソフトのインストールなどをする必要がなく、Webサイトを開けば誰でも無料で、手軽に省エネ計算ができます。

建築物の省エネに関する制度は更新や改定が多いですが、Webプログラムは国土交通省が携わっていることもあり、それらにすぐに対応しています。そのため、常に最新の省エネ基準で計算できるのも大きな特徴です。

有料ソフトで計算する

有料の省エネ計算ソフトウェアは、高度な機能と精度、カスタマイズの柔軟性などが特徴です。専門的なサポートと定期的な更新があることも大きなメリットと言えるでしょう。複雑な建築物の細かい箇所の計算や、設計プロセスの効率化も可能になります。

一方で、高額なコストが必要というデメリットもあります。さらに、複雑な操作、専門知識の必要性、他のシステムとの互換性などの問題点も挙げられます。

有料ソフトウェアは、特に大規模なプロジェクトや専門的な建築設計事務所に適しています。しかし、小規模事業主や限られた予算の中で運営されている場合には、費用対効果を慎重に検討する必要があります。

省エネ計算代行会社に依頼する

手間をかけずに正確な省エネ計算を求める場合は、省エネ計算代行会社に依頼する方法がおすすめです。代行会社は専門知識と経験を有し、正確かつ効率的な計算を行うため、時間と労力の節約ができます。省エネ計算を外部に依頼することで、建築士や設計士は他の主業務に集中できます。さらに、詳細な報告書や資料の提供が受けられるため、届出や補助金申請にも有用です。

一方、デメリットとしては、追加の費用、コミュニケーションコスト、機密情報の漏洩リスクなどがあります。代行サービスを利用する際は、これらのメリットとデメリットを総合的に検討し、予算やニーズに適した選択をすることが重要です。

省エネ計算とは?建築におけるエネルギー効率の基礎と応用【まとめ】

環境への貢献

省エネ計算は、持続可能な建築への重要な一歩です。省エネ計算を通じて、建築物のエネルギー効率が大幅に向上し、長期的なエネルギーコストの削減と環境への負荷軽減が実現します。初期投資の増加や専門知識の必要性などの課題が伴いますが、これらは長期的な環境保護と資源の効率的利用の観点から重要な投資です。省エネ計算は、持続可能な環境への重要なステップであり、エネルギー効率と環境保護のために欠かせません。

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