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CASBEEとは?環境に配慮した建築物を評価する基準

昨今、環境に配慮した建築が注目されていますが、CASBEEのことを知らない方もいるのではないでしょうか。CASBEEは、建築物の環境性能を評価するための日本独自のシステムで、近年注目を浴びています。

この記事では、CASBEEの説明を通して、環境に優しい建築をどのように評価し、推進していくかをお伝えしながら、環境負荷の低減と建築物の快適性を両立させる基準の重要性について解説します。

CASBEEとは

CASBEE(Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency)は、建築物の環境性能を評価するための指標の一つです。環境負荷の低減と建築物の快適性や機能性をバランス良く評価することを目的としています。具体的には、エネルギー効率、環境負荷の少ない素材の使用、屋内環境の快適性など、複数の側面から建築物を評価し、その環境性能を総合的に判断します。

CASBEE開発の背景

CASBEEの開発背景には、建築物の環境負荷問題があります。2000年代初頭、日本では経済成長に伴ってエネルギー消費が増加し、環境問題が深刻化していました。特に、建築物はエネルギー消費の大きな割合を占めており、CO2排出量の削減や資源の効率的な利用は欠かせない問題でした。そして、その問題は今なお続いています。

日本政府と建築業界は環境に配慮した建築物の設計・運用を推進する必要性を認識し、CASBEEを開発しました。CASBEEは、建築物のライフサイクル全体を考慮し、環境への影響を最小限に抑えつつ、快適性や機能性を確保することを目指しています。

CASBEE評価ツール

CASBEEにはいくつかの評価ツールがあります。

  • CASBEE-企画
  • CASBEE-新築
  • CASBEE-既存
  • CASBEE-改修

いずれも、環境問題対策に欠かせない重要な評価です。それぞれ詳しく解説します。

CASBEE-企画

CASBEE-企画は、プロジェクトの初期段階、特に企画やプレデザインの際に重要な役割を果たします。このツールは、建築プロジェクトの環境影響を初期段階で理解し、適切な敷地選定を支援する目的で開発されています。オーナーやプランナーにとって、プロジェクトの環境性能を早期に把握し、適切な意思決定を行うための重要なガイドラインとなります。

CASBEE-新築

CASBEE-新築は、設計段階での建築物の環境性能を評価するためのツールです。この自己評価システムを用いて、設計者やエンジニアは設計仕様や予測性能に基づき、建築物のBEE値(建築環境効率値)等を向上させるための具体的なアプローチを検討できます。また、専門家による第三者評価を受けることで、より正確な評価やラベリングが可能です。

CASBEE-既存

CASBEE-既存は、完成後1年以上の運用実績を持つ既存の建築物を対象とした評価ツールです。このシステムは、建築物の運用実績に基づいた評価を行い、資産価値の向上に貢献することを目的としています。持続可能な建築運用における重要な指標を提供し、既存ストックの価値を高めるために有効な手段となります。

CASBEE-改修

CASBEE-改修は、既存の建築ストックの改修や運用の最適化をサポートするツールです。ESCO事業やストックの改修計画を検討している場合に特に有用で、建築物の運用モニタリングやコミッショニング、改修設計に対する提案など、総合的な運用改善を目指す際の重要な支援ツールとなります。このシステムを活用することで、既存建築物の環境性能と資産価値を同時に向上させることができます。

CASBEEの評価方法

CASBEEの評価方法は、建築物の種類や使用目的に応じて異なります。新築建築物は「CASBEE建築(新築)」で評価され、既存不動産は「CASBEE不動産」を用いて評価します。これに加え、オフィスビルの健康と快適性に焦点を当てた「CASBEEウェルネスオフィス」もあります。

CASBEE建築

CASBEE建築は、新築や改修された建築物の環境性能を総合的に評価するシステムです。この評価では、建築物の環境品質(Quality)と環境負荷(Load)を基に、環境効果(Built Environment Efficiency:BEE)を算出し、5段階のランクで分類します。

  • Sランク(素晴らしい):BEEが3.0以上、Q値が50以上
  • Aランク(大変よい):BEEが1.5以上3.0未満
  • B+ランク(良い):BEEが1.0以上1.5未満
  • B-ランク(やや劣る):BEEが0.5以上1.0未満
  • Cランク(劣る):BEEが0.5未満

エネルギー効率、環境負荷の少ない資材の使用、屋内環境の快適性などが評価対象となり、延べ面積300平米以上の建築物が適用対象です。このシステムは、建築物の市場価値向上やブランドイメージ強化に貢献し、持続可能な建築設計の指針として機能します。

CASBEE不動産

CASBEE不動産は、主に不動産市場でのブランディングを目的とした評価ツールです。このシステムは、投資家、金融機関、不動産会社、ビルオーナーなどの関係者が簡略的に行う評価です。100点満点の総合得点に基づき、以下の5段階でランク付けされます。

  • Sランク(すばらしい):78点以上
  • Aランク(大変よい):66点以上
  • B+ランク(良い):60点以上
  • B-ランク(必須項目を満足):50点以上

対象となる建築物は、竣工後1年以上の運用実績を有し、オフィス、店舗、集合住宅、物流施設など特定の用途を満たす必要があります。この評価は、建築主や所有者が申請可能で、建築物の環境性能に基づいた市場価値の向上を目指します。

CASBEEウェルネスオフィス

CASBEEウェルネスオフィスは、利用者の健康と生産性向上を目指す環境性能を評価するシステムです。この評価は、室内環境による従業員の健康面や快適性への影響に焦点を当て、5段階のランクで評価されます。

  • Sランク(すばらしい):75点以上
  • Aランク(大変よい):65点以上
  • B+ランク(良い):50点以上
  • B-ランク(やや劣る):40点以上
  • Cランク(劣る):40点未満

評価基準には「基本性能」と「運用管理」が含まれます。申請者は原則建築主または所有者で、第三者による審査を経て認証されます。認証の有効期間は5年です。このシステムは、建築物の環境性能だけでなく、利用者の健康と幸福にも配慮した持続可能な建築物を推進するための重要なツールです。

CASBEE認証について

CASBEE認証は、申請から認証まで通常約2ヶ月程度を要します。ここでは建築物の環境性能が評価・認証されるまでのプロセスをご紹介します。

認証の流れ

  1. 事前相談:担当機関の専門家に相談し、申請内容や関連文書、スケジュールなどを確認します。
  2. 申請受付:必要な申請関連図書を作成し、提出します。
  3. 評価員による審査:審査にはヒアリングや現地調査が含まれることがあります。審査中に指摘された事項に対しては、迅速に回答書を提出する必要があります。
  4. 評価認証書の交付:審査終了後、CASBEE評価認証書と認証マークが交付されます。
  5. 評価認証の公表:評価認証書交付後、評価認証が行われた事実が公表されます。

CASBEE認証のメリット

CASBEE認証には次のようなメリットがあります。

  • 不動産の価値が上がる
  • 環境に優しい

不動産の価値が上がる

CASBEE認証を活用することで不動産の価値が上昇します。これは、CASBEE認証によって環境性能が高いと評価された建築物が、市場においても高い評価を受けるからです。

CASBEEの認証を受けると、建築物の環境に対する配慮が明確になるため、ブランドイメージが向上します。省エネ性能が高いと運用コストが下がるため、賃料の底上げや入居率の向上にもつながります。

CASBEE認証は、環境性能の向上とともに、不動産の経済的価値を高める重要な役割を果たします。

環境に優しい

CASBEE認証の大きな利点は環境への配慮です。この認証を受けた建築物はエネルギー効率が高く、CO2排出量の削減に貢献することになります。

さらに、持続可能な資材の利用と廃棄物管理の最適化により、無駄なく資源を活用できます。このアプローチは、建築物のライフサイクル全体にわたり環境性能を包括的に評価し、地球環境の保全に貢献します。

CASBEE認証は、建築物が環境に及ぼす影響を最小限に抑え、持続可能な建築を促進します。

CASBEE認証のデメリット

CASBEE認証にはデメリットも存在します。

  • 費用がかかる
  • 手間がかかる

費用がかかる

CASBEEの認証システムを利用する際の一つのデメリットは、その過程で発生する追加費用です。CASBEE認証を申請することで、設計や建築における初期費用が増加する可能性があります。

CASBEE認証の基準に沿った高い環境性能を実現するためには、特殊な材料の使用や先進的な技術の採用が必要となります。このような技術や材料は、一般的な建築資材や工法と比較して新しく、市場での普及が進んでいない場合があります。そのため、これらを利用することで建築コストの上昇につながります。

CASBEE認証を活用することによる環境性能の向上は明確な利点ですが、予算に限りがあるプロジェクトにとって、費用の増加は考慮すべき事項です。

手間がかかる

CASBEEの認証システムは、その過程で発生する手間もデメリットです。このシステムを利用することで、建築プロジェクトにおいて、追加の作業が必要になります。

CASBEEは環境性能を詳細に評価するため、エネルギー消費、材料の選定、廃棄物管理など、様々なデータの収集が必要です。不動産の価値が上がったり、環境負荷を低減できるというメリットもありますが、その分工数が増えることも認識しておく必要があります。

CASBEEとは?環境に配慮した建築物を評価する基準【まとめ】

CASBEEは、建築物の環境負荷を評価し、持続可能な建築を推進するための大きな役割を持っています。手間や費用がかかるものの、このシステムは環境保全、エネルギー消費の削減、そして建築物の持続可能性の向上という長期的なメリットを提供します。さらに、CASBEE認証により不動産の市場価値も向上するため、経済的利益も期待できます。

CASBEEは環境に優しい建築の推進だけでなく、社会的および経済的な利点ももたらす重要な指標なのです。

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