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CASBEEの評価項目とは?ツールごとの特徴と評価を上げるための改善策を解説

建築物の環境性能を、多角的に評価する手段として構成されている「CASBEE」。

戸建て住宅・新築建築物・不動産・まちづくりなど対象や目的に応じて様々なツールが用意されており、ツールごとに評価項目も異なります。

この記事では、CASBEEツールの中でも需要の高いCASBEE建築・CASBEE不動産・CASBEEウェルネスオフィスに加え、近年追加されたCASBEEウェルネス不動産の評価項目について解説します。

それぞれの評価を上げるための改善策も解説するので、CASBEEを有効活用したい方は参考にしてください。

CASBEEとは

CASBEEとは、建築物の環境性能を評価して格付けする方法で、建築環境総合性能評価システムとも呼ばれています。

建築時や運用時の省エネ性能の高さはもちろん、室内環境の快適さや景観への配慮など環境品質を含めた環境性能を総合的に評価するのが特徴です。

その利便性と応用力の高さから、2003年に公表されて以来、国内の建築業界や不動産市場におけるサステナブル建築の推進に貢献し続けています。

CASBEEの評価分野

CASBEEの評価は、大きく分けて「建築物の環境品質(Q)」と「建築物の環境負荷(L)」の2分野で構成されています。

引用:IBECS「評価の仕組みと環境効率(BEE)

Qは室内の温度や採光、騒音対策など建築物自体の性能が対象で、建築物の利用者にとって快適な空間を提供できるか評価します。建築物の維持管理のしやすさや耐久性、景観との調和も対象です。

Lは建築物の計画・設計・施工・運用・廃棄というライフサイクル全体を通じて、環境への負荷をどれだけ小さく抑えられるかを測る指標です。

上記2つの評価区分を用いたCASBEEの主要概念を「環境性能効率(BEE)」と呼び、指標はQを分子、Lを分母とすることで算出します。

建築物の環境効率(BEE)=Q(建築物の環境品質)÷L(建築物の環境負荷)

BEEに基づく格付けは、次の通りです。

引用:IBECS「評価の仕組みと環境効率(BEE)

BEEのランクは、S(大変優れている)、A、B+、B-、C(劣っている)の5段階で、BEEの値が増加するほど総合的に性能が高いと評価されます。

グラフを見てわかる通り、BEEの値を高めるには環境負荷を減らして環境品質を向上させることが重要です。

CASBEEの評価ツール

CASBEEでは建築物の用途や評価の目的に合わせて的確に評価するため、複数のツールで構成されています。

引用:IBECs「CASBEEの概要

ここからはCASBEEツールの中でも需要の高い、「CASBEE建築(新築)」「CASBEE不動産」「CASBEEウェルネスオフィス」に加え、最新のマニュアルが公開され先行評価認証の受付が本格化している「CASBEEウェルネス不動産」の概要と評価項目について解説します。

CASBEE建築(新築)とは

CASBEE建築(新築)は、集合住宅や非住宅など戸建て住宅を除く新築建築物の評価を目的としたツールです。

具体的な適用対象用途は、次の通りです。

引用:IBECs「CASBEE建築(新築)開発の背景

CASBEE建築(新築)では、主に設計・施工段階における環境性能を評価します。

CASBEE建築の評価項目

CASBEE建築の評価項目は、次の通りです。

室内環境音環境
温熱環境
光・視環境
空気環境
サービス性能機能性
耐用性・信頼性
対応性・更新性
室外環境生物環境の保全と創出
まちなみ・景観への配慮
地域性・アメニティへの配慮
エネルギー建物外皮の熱負荷制御
自然エネルギー利用
設備システムの高効率化
効率的運用
資源・マテリアル水資源保護
非再生性資源の使用量削減
汚染物質含有材料の使用回避
敷地外環境地球温暖化への配慮
地域環境への配慮
周辺環境への配慮

CASBEE建築は、人・環境・地域に配慮しているため評価範囲も広く、総合的に環境性能を測れるように構成されています。

CASBEE建築の評価を上げるポイント

CASBEE建築の評価を上げるには、2025年4月の省エネ基準全面義務化(建築物省エネ法改正)の基準を大きく上回る「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)水準」の設計を目指すことが重要です。高効率なVAV(可変風量)空調制御やタスク・アンビエント照明、BEMS(ビルエネルギー管理システム)を活用した運用予測など、踏み込んだ省エネ提案が求められます。

また、最新の評価システムでは「ホールライフカーボン(WLC)」の観点が強化されています。資材製造から解体までに排出されるCO2を削減するため、低炭素マテリアル(高炉セメント等)の採用や木造・混構造の検討も有効なアプローチです。

 敷地外環境においては、単なる緑化に留まらず、JHEP認証やJBIB等の外部評価と連動した「ネイチャーポジティブ(生物多様性回復)」を意識した計画にすることで、デベロッパーのESG戦略(GRESB対応等)に直結する高い評価を得られます。

CASBEE不動産とは

CASBEE不動産は、竣工後1年以降の既存建築物(オフィス・店舗・物流施設・ホテル・集合住宅に限定)の評価を目的としたツールです。

評価内容を建築物の不動産としての環境性能がわかる項目に絞り、不動産の開発や取引に携わる方が不動産市場で建築物をアピールできるプランディングツールとして開発されました。

CASBEE不動産の評価項目

CASBEE不動産の評価項目は、次の通りです。

エネルギー・温室効果ガス省エネ基準への適合
エネルギー消費量の目標設定
モニタリングの実施
運用管理体制の構築
水使用量の目標設定
モニタリングの実施
資源利用・安全新耐震基準への適合
生物多様性・敷地外来生物法の特定外来生物
生態系被害防止外来種
屋内環境建築物環境衛生管理基準の準拠
質問票による評価

CASBEE不動産はCASBEE建築の中から不動産市場のブランディングツールとして重要項目に絞って取り込んでおり、シンプルな項目構成になっています。

CASBEE不動産の評価を上げるポイント

CASBEE不動産の評価を上げるには、中長期的な改修計画(フォワードルッキングな投資)と、日々のビルマネジメント(BM)データの蓄積が鍵となります。水資源に関しては、単に節水型機器へ更新するだけでなく、スマートメーターによる詳細なモニタリング体制を構築し、運用改善の「エビデンス(データ)」を示すことが評価アップへの近道です。

CASBEE不動産で高いランクを獲得することは、GRESBリアルエステイト評価におけるスコア向上や、サステナブルファイナンス(グリーンローン等)の有利な融資条件獲得に直結します。改修コストを上回る資産価値(グリーンプレミアム)を生み出す戦略として捉えることが重要です。

CASBEEウェルネスオフィスとは

CASBEEウェルネスオフィスは、主に事務所の快適さを測るツールです。

建築物を利用する人の健康性や快適性の維持・増進をサポートするオフィスの仕様や性能、取り組みを評価します。

CASBEEウェルネスオフィスの評価項目

CASBEEウェルネスオフィスの評価項目は、次の通りです。

健康性・快適性空間・内装
音環境
光環境
熱・空気環境
リフレッシュ
運動
利便性移動空間・コミュニケーション
情報通信
安全性災害対応
有害物質対策
水質安全性
セキュリティ
運用管理維持管理計画
満足度調査
災害対応
プログラムプログラム

CASNEEウェルネスオフィスは人が活動しやすい環境性能に特化しており、生産性の向上や離職率の低下、企業の健全性を目指す際に適しています。

CASBEEウェルネスオフィスの評価を上げるポイント

CASBEEウェルネスオフィスはオフィスを利用する人が快適と感じる環境づくりが第一なので、空調や騒音の制御、自然光や照明の明るさの調整など細やかな配慮が大切です。

特に温度の感じ方は個人差が大きいため、ワンフロアを単一で調整する空調設備よりも個別に調整しやすいシステムの導入を検討しましょう。

CASBEEウェルネス不動産とは

CASBEEウェルネス不動産は、既存建築物のウェルネス性能を評価・格付けし、不動産市場(投資家・テナント)へ簡潔に提示できるツールです。 最新の2026年版マニュアルの公開に伴い、IBECsによる先行評価認証の本格運用が開始されました

オフィスビルだけでなく、商業施設やホテル、病院など、多様なアセットにおけるリーシングの差別化・物件価値向上(ブランディング)の切り札として、デベロッパーや不動産ファンドから非常に高い注目を集めています。

CASBEEウェルネス不動産の評価項目

CASBEEウェルネス不動産の評価項目は、次の通りです。

健康維持・増進空気質
温熱環境
光環境
水質
運動促進
快適性・生産性音環境
眺望・景観
デザイン
プライバシー
休憩・リフレッシュ
安全性・安心感防災
セキュリティ
感染症対策
自然災害対応
利便性・コミュニティアクセス
共用部
サービス
コミュニティ形成

CASBEEウェルネス不動産はCASBEEウェルネスオフィスと方向性が近く、利用者の健康性や快適性への配慮を評価する項目で構成されています。

CASBEEウェルネス不動産の評価を上げるポイント

CCASBEEウェルネス不動産はCASBEEウェルネスオフィスと同じく、利用者のウェルビーイング(心身ともに満たされた状態)を最大限に引き出す工夫が評価されます。

快適性や健康性だけでなく、耐震性や防火性の確保、入退室管理や監視カメラ等によるセキュリティ強化など安全性・安心感への配慮も重要です。

CASBEEの評価項目でよくある質問2選

ここではCASBEEの評価項目でよくある質問を、2つ解説します。

CASBEE建築とCASBEE不動産の違いは?

CASBEE建築とCASBEE不動産の大きな違いは、評価対象と評価目的です。

それぞれの特徴を、次の表にまとめました。

CASBEE建築(新築)CASBEE不動産
目的建築物の設計、行政支援不動産の価値をブランディング化
対象新築建築物既存建築物
建築用途非住宅及び集合住宅(戸建て住宅を除く)オフィス・店舗・物流施設・ホテル・集合住宅等

CASBEE建築が建築物のライフサイクルを通した環境性能を評価するのに対し、CASBEE不動産は不動産市場で価値を簡単に証明できるツールとして開発されています。

CASBEE不動産とCASBEEウェルネス不動産の違いは?

CASBEE不動産とCASBEEウェルネス不動産はどちらも不動産市場に向けたブランディングが目的ですが、評価内容が異なります。

CASBEE不動産CASBEEウェルネス不動産
目的建築物の環境性能の可視化によるブランディング建築物の利用者の健康性や快適性を可視化してブランディング
対象既存建築物既存建築物
建築用途オフィス・店舗・物流施設・ホテル・集合住宅 等オフィス・店舗・物流施設・ホテル・集合住宅 等

CASBEE不動産は建築物の総合的な環境性能を評価するのに対し、CASBEEウェルネス不動産は建築物を利用する人の健康性や快適性に絞って評価するためのツールです。

まとめ

CASBEEは建築物の用途や評価目的に適した評価を行うことを目指し、様々なツールが開発されています。

評価を受ける場合は目的に合ったツールを選び、不動産市場でのブランディングや持続的な成長を目指す経営手法として活用しましょう。ただしCASBEE認証は、図書の用意など申請に手間や時間がかかります。

面倒な手続きは申請代行業者へ外注し、設計など本来注力したい業務に集中できる環境づくりをしてみてはいかがでしょうか。

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