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省エネ適判が不要になる4つの条件!不要時のフローチャートや注意点も解説

2022年に建築物省エネ法が改正されたことにより、2025年4月から規模や用途を問わず原則全ての住宅・非住宅において省エネ基準への適合が義務化されました。

それに伴い、建築確認手続きにおける省エネ基準適合性の審査対象が大幅に拡大し、実務者の申請負担や検査機関の混雑による審査期間の長期化(着工遅れリスク)が大きな課題となっています。そのため、審査のスピードアップと合理化を目的に、従来の「省エネ適判(別途の適合性判定)」の手続きを要しない(免除・省略できる)ルートが設けられています。

そこでこの記事では、省エネ適判が不要になる建築物の条件について、具体的に解説します。

省エネ適判とは

省エネ基準適合性判定(省エネ適判)とは、省エネ基準への適合義務がある建築物に対し、省エネ基準を満たしているか審査する制度です。

対象建築物は工事に着手する前に、建築物エネルギー消費性能確保計画を所管行政庁又は国が認めた登録省エネ判定機関に提出して判定を受ける義務があります。

省エネ適判の申請に必要な書類

省エネ適判の申請に必要な書類は、次の通りです。

・建築物エネルギー消費性能確保計画書

・設計内容説明書

・各種図面、計算書

(配置図、仕様書、各階平面図、断面図、各部詳細図、各種計算書など)

・その他必要な書類

各種図面は、種類に応じて明示すべき事項(断熱材の仕様、窓の熱貫流率、各設備の能力など)を図面上に明記する必要があり、非常に煩雑です。

省エネ適判を申請する流れ

省エネ適判を申請する流れは、次の通りです。

引用:国土交通省「適合性判定の手続き・審査の合理化について

建築確認申請と同じタイミングで、省エネ適判の申請を行うのが一般的です。

ただし、省エネ適判をクリアして適合判定通知書を入手するまでは確認済証が交付されず、着工手続きに進めません。

竣工まで計画通りに行うには、省エネ適判に必要な図書等を不備なく用意して申請することが不可欠です。

省エネ基準の「全面義務化」による実務への影響

改正建築物省エネ法の施行により、規模や用途を問わず、原則すべての住宅・非住宅において省エネ基準への適合が義務化されました。これにより、確認申請時に省エネ性能の審査を受ける建築物が激増し、実務現場の対応コストを引き上げています。

引用:国土交通省「令和4年度改正建築物省エネ法の概要

前述した通り省エネ適判には省エネ性能を証明するために様々な図面や図書、省エネ計算が必要です。

そのため、申請者・審査者共に負担がかかっているのが現状です。

そこで国土交通省は、双方の負担を軽減するのを目的に省エネ適判を省略できる条件を設けています。

省エネ適判が不要になる4つの条件

省エネ適判が不要・省略できるのは、次のいずれかの条件に該当する建築物です。

・省エネ基準適合義務に該当しない建築物

・延床面積200㎡以下の平屋

・長期優良住宅認定通知書や設計住宅性能評価書を提出できる建築物

・設計に仕様基準を用いた住宅

それぞれの概要を、詳しく解説します。

省エネ基準適合義務に該当しない建築物

そもそも省エネ基準適合義務に該当しない建築物は、省エネ適判の対象外です。

省エネ基準に適合義務のない建築物の条件は、次の通りです。

①延床面積10㎡以下の建築物(延床面積-開放部分≦10m2 も可)

②歴史的建築物・文化財

③居室を有しない又は高い開放性を有することで空気調和設備を設ける必要がないもの

④仮設建築物・工事用の現場事務所・プレハブの住宅販売モデルルーム等

③は自動車車庫、常温倉庫、畜舎、スケート場、水泳場、神社、寺院等が該当します。

適用対象か判断が難しい場合は、立地する地域の所管行政庁に相談しましょう。

建築確認・審査省略の対象となる平屋(延床面積200㎡以下など)

4号特例の見直し(新3号建築物への移行など)に伴い、都市計画区域外に立地する延床面積200㎡以下の平屋や、都市計画区域内であっても建築士が設計・工事監理を行う200㎡以下の平屋などは、建築確認時の省エネ性能に関する書面審査・適合性判定が不要(審査省略)となります。 ただし、省エネ基準への「適合義務」自体は免除されないため、建築士の責任において基準を満たす設計を行い、関係図書を保管しておく必要があります。

長期優良住宅認定通知書や設計住宅性能評価書を提出できる建築物

長期優良住宅の認定を受けている住宅は、省エネ基準以上の省エネ性能を取得しているため省エネ適判が不要です。

また設計住宅性能評価書も、断熱性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上の性能を確保していると表記されていれば、省エネ適判を省くことができます。

設計に仕様基準を用いた住宅

部位や設備ごとに複雑な省エネ計算を行う「性能基準」ではなく、あらかじめ国が定めた断熱材や設備のスペックを満たす「仕様基準」を選択する場合、審査が容易であるため、省エネ適判の手続きを省略し、建築確認の中で一体的に審査(一連方式)することが可能です。 

【実務上の注意点】 

仕様基準は計算の手間を省ける一方で、「設計の自由度が下がる」「開口部の制限が厳しい」「オーバースペックな設備導入により、かえって建築コスト(イニシャルコスト)が高くなる」というトレードオフがあります。デベロッパーや設計者は、全体の予算とデザインのバランスを考慮して選択する必要があります。

省エネ適判が不要な建築物3つのメリット

省エネ適判を省略することで、得られるメリットを3つ解説します。

図書の作成や省エネ計算に関わる負担が軽減する

前述してきた通り、省エネ適判を省略できるということはそれに関わる図書の提出等もなくなり、設計士の負担が軽減するのが大きなメリットです。

従来通り、設計業務に集中して取り組める時間を確保しやすくなるでしょう。

着工前の審査が建築確認のみで済む

省エネ適判を省略できると着工前の審査が建築確認のみなので、着工までの過程がスムーズに進みやすくなります。

引用:国土交通省「適合性判定の手続き・審査の合理化について

省エネ適判の結果を待つ時間も短縮でき、竣工までの見通しも立てやすくなるでしょう。

省エネ適判にかかる手数料をカットできる

省エネ適判を受けるためには、申請する登録省エネ判定機関等に対する手数料が発生します。

手数料の価格は建築物の用途や規模、審査機関によって異なります。

例えば代表的な機関で木造一戸建て住宅の省エネ適判を受ける場合、発生する手数料は次の通りです。

機関名手数料(税込)
ビューローベリタスジャパン株式会社52,800円~
株式会社 東京建築検査機構66,000円~
財団法人 日本建築センター145,200円~
株式会社 確認サービス66,000円~
株式会社 建築構造センター35,200円~

※2026年5月現在

非住宅の場合は、設計方法や建築物の用途・規模によって手数料が大きく変動します。

例えば中規模(300㎡以上2,000㎡未満)の工場を標準入力法で設計した場合、省エネ適判にかかる手数料は次の通りです。

機関名手数料(税込)
300㎡以上500㎡未満500㎡以上1,000㎡未満1,000㎡以上2,000㎡未満
ビューローベリタスジャパン株式会社324,280円378,730円431,970円
株式会社 東京建築検査機構192,500円220,000円247,500円
財団法人 日本建築センター264,000円264,000円319,000円
株式会社 確認サービス328,000円328,000円398,000円
株式会社 建築構造センター71,500円114,400円143,000円

※2026年5月現在

規模が大きくなる程価格も上昇するので、コストカットの魅力も大きく感じられるでしょう。

省エネ適判が不要な建築物2つの注意点

省エネ適判が不要な建築物は手間やコストが省けるというメリットがありますが、注意すべき点も存在します。

ここでは省エネ適判が不要な建築物で注意したいポイントを、2つ解説します。

省エネ適判が不要でも省エネ基準適合の義務があるケースも

省エネ判定を省略できる建築物でも、省エネ基準への適合義務がある場合は必ず省エネ基準を満たさなければいけません。

例えば仕様基準により省エネ基準適合を示す場合は、建築確認審査に提出する設計図書が仕様基準に適合しているかを必ず確認しましょう。

省エネ適判後に計画を変更した場合は手続きが必要

省エネ適判を受けなくても、着工後から竣工までに建築物エネルギー消費性能確保計画に変更が生じた場合、必ず変更手続きが必要です。

当初の計画よりも省エネ性能が向上したり、性能に影響しないことが明らかだったりする場合は、完了検査の申請時に「軽微な変更説明書」等を提出します。

性能が省エネ基準を下回る可能性がある、仕様基準を選択したのに仕様基準に該当しない設備を導入した等の性能に大きな影響がある変更の場合は、再適判になる恐れがあります。

竣工までスムーズに進めるには、最初の計画通りに進めていくのが安心です。

【2026年最新トピックス】中規模非住宅の基準引き上げにも要注目

小規模建築物や住宅で「適判不要ルート」を模索して合理化を図る一方で、中規模以上のプロジェクトに関わるデベロッパーやゼネコンの皆様が今最も警戒すべきは、2026年4月に施行された「中規模非住宅(300㎡以上2,000㎡未満)の省エネ基準引き上げ」です。 これにより、中規模のオフィスや工場であっても、大規模建築物と同等の厳しい省エネ基準(ZEB水準への段階的移行)への適合が求められるようになりました。

「適判の手続きがあるか・ないか」だけでなく、「クリアすべき基準そのものが高くなっている」ため、初期の基本設計段階から専門的な省エネシミュレーションを行うことが、プロジェクトを予算内で予算通りに着工させるための鍵となります。

省エネ適判が不要になるケースでよくある質問2選

ここでは省エネ適判が不要になるケースでよくある質問を、2つ解説します。

倉庫は省エネ適判の対象外?

倉庫は次のいずれかに該当する場合、省エネ適判の対象外です。

・延床面積10㎡以下

・温度や湿度の調整が不要な常温倉庫

・人が常駐する居室がなく、空気調和設備が一切不要

一方省エネ適判の対象となる倉庫は、次の通りです。

・空調付き倉庫

・定温・冷蔵・冷凍倉庫

・事務室や休憩室が併設されている倉庫

判断が難しい場合は、立地する地域の所管行政庁に確認しましょう。

模様替えや増改築も省エネ適判の対象?

壁紙やフローリングの張り替え、屋根や外壁のひび割れの保証などの修繕は、省エネ適判の対象外です。

延床面積10㎡以上の増改築は、増改築した部分のみ省エネ適判の対象になります。

引用:国土交通省「令和4年度改正建築物省エネ法の概要

まとめ

省エネ適判の不要条件や省略ルートを賢く活用することは、建築主(デベロッパー)にとっても設計・施工者にとっても、コスト・期間・リソースのすべてにおいて大きなメリットをもたらします。 しかし、法改正が連続する現在の建築業界において、どのルートが自社プロジェクトにとって「最もトータルコスト(設計手間+工事費)を抑えられるか」を見極めるのは容易ではありません。 

基準適合義務を確実にクリアしつつ、スピーディーに着工へと繋げるために、複雑な省エネ計算やルート選定については、実績豊富な省エネ計算の専門代行会社へ外注・相談し、設計・施工のコア業務にリソースを集中できる環境を整えるのが賢明な選択と言えるでしょう。

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