住宅省エネルギー性能証明書とは?取得方法や活用法をわかりやすく解説
住宅省エネルギー性能証明書は、住宅の省エネ性能を証明する重要な書類です。
2024年以降の住宅ローン控除申請に原則として必要なため、取得方法や活用法を理解することで、経済的なメリットが得られます。
この記事では、証明書の概要から具体的な活用方法まで詳しく解説します。
住宅省エネルギー証明書とは
住宅省エネルギー性能証明書は、住宅が省エネ基準に適合していることを証明する重要な書類です。
省エネ性能のみを評価する点が特徴で、原則として2024年以降の住宅ローン控除申請に必要となります。この証明書の重要性は今後ますます高まっていくでしょう。
住宅省エネルギー性能証明書の定義
証明書は、建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)の「省エネ基準適合住宅」であることを証明します。
評価項目は外皮性能基準と一次エネルギー消費量基準の2つです。これらの基準に基づいて、省エネ基準適合住宅(等級4以上)またはZEH水準住宅(外皮性能等級5以上・一次エネルギー等級6)として等級が記載されます。この等級は、住宅の省エネ性能を客観的に示す指標となります。
省エネ性能の高さは、将来的な光熱費の節約や環境への配慮につながるため、住宅選びの重要な要素です。
住宅省エネルギー性能証明書が必要となるケース
証明書が必要となるケースはたくさんありますが、よくあるのは以下の2つのケースです。
- 住宅ローン減税を受ける
- 住宅取得等資金の贈与を受けた場合に贈与税の非課税限度額の拡大措置を利用する
特に注意が必要なのは、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅です。
この場合、住宅ローン控除申請には原則として証明書が必要になります。
将来的には、中古住宅の売買時にも重要な書類になる可能性があります。
省エネ性能が高い住宅は、将来の売却時に有利に働く可能性もあるため、証明書の取得は長期的な視点でも有益です。
住宅省エネルギー性能証明書の取得方法
証明書は自動的に発行されるものではありません。
取得するためには、登録住宅性能評価機関や建築士、指定確認検査機関などの事業者に申請する必要があります。
また、新築住宅だけでなく、中古住宅でも取得可能です。
取得方法を理解することで、スムーズに証明書を入手できるでしょう。
住宅省エネルギー性能証明書を発行できるのは?
証明書を発行できるのは以下のとおりです。
- 登録住宅性能評価機関
- 対象住宅を設計・工事監理等を実施した建築士(登録された建築士事務所に所属していること)
- 指定確認検査機関
- 住宅瑕疵担保責任保険法人
この証明書は、設計した建築士自身が発行できるのが注目のポイントです。
これにより、設計段階から省エネ性能を意識した住宅づくりが可能となります。
また、建築士が直接発行することで、手続きの簡素化や時間の短縮が期待できます。
誰に発行してもらうかは、住宅の状況や取得の目的に応じて選びましょう。
取得に必要な書類と手続きの流れ
証明書の取得には、設計図書、工事監理報告書、省エネ性能計算書などが必要です。
手続きの流れは、申請→審査→証明書発行となります。
省エネ計算は専門性が高いため、省エネ計算代行サービスの利用を検討するのがよいでしょう。
取得にかかる期間は案件の複雑さや申請時期によって変わります。
早めの準備と申請が望ましいでしょう。
また、申請前に必要書類を十分に確認し、不備のないよう注意することが大切です。
住宅省エネルギー性能証明書の書き方
証明書の様式は国土交通省のウェブサイトからダウンロード可能です。
住宅の基本情報、省エネ性能の評価結果、発行者の情報などが必要なので、あらかじめ準備しておきましょう。
正確な記入が重要で、誤記入は無効となる可能性があります。特に注意が必要なのは、評価結果の記入です。外皮性能と一次エネルギー消費量の両方の等級を正確に記載する必要があります。
また、発行者の押印や署名も忘れずに行いましょう。不明な点がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。
以下は証明書の記載例です。
住宅省エネルギー性能証明書の評価基準
評価基準は、外皮性能基準(断熱等級)と一次エネルギー消費量基準の2項目です。
省エネ基準適合住宅は両方とも等級4以上、ZEH水準住宅は外皮性能が等級5以上、一次エネルギー消費量が等級6となります。
これらの基準を満たすことで、快適な住環境と省エネ性能の両立が実現します。
外皮性能基準(断熱等級)
外皮性能基準は、住宅の断熱性能を評価します。等級4は省エネ基準、等級5はZEH水準を示しており、「外皮平均熱貫流率」と「冷房期の平均日射熱取得率」の2つが評価基準です。
高い断熱性能は、冷暖房効率の向上や結露の防止につながり、快適な室内環境の維持に寄与します。また、地域によって要求される断熱性能が異なるため、建設地の気候条件に応じた適切な断熱設計が求められます。
外皮性能の向上は、長期的な視点で見ると光熱費の削減にもつながる重要な要素です。
一次エネルギー消費量基準
一次エネルギー消費量基準は、住宅全体のエネルギー消費量を評価します。等級4は省エネ基準、等級6はZEH水準を示します。暖冷房、換気、給湯、照明などの設備の効率性が評価対象です。
高効率な設備の導入や再生可能エネルギーの活用により、一次エネルギー消費量を削減できます。この基準を満たすことで、環境負荷の低減と光熱費の削減が期待できるでしょう。
また、将来的なエネルギー価格の上昇にも対応しやすくなるため、長期的な経済性の観点からも重要な基準となっています。
住宅省エネルギー性能証明書を取得するメリット
証明書取得の主なメリットは、住宅ローン控除の拡大、贈与税の非課税措置の適用、補助金の利用可能性、住宅の資産価値向上などです。
環境に配慮した住宅であることを客観的に示し、将来的な住宅の価値維持にもつながります。また、省エネ性能の高さをアピールすることで、住宅の魅力向上にも役立ちます。
減税制度や補助金の申請に使える
証明書を取得することで、住宅ローン控除の借入限度額が拡大されます。
例えば、ZEH水準の場合、借入限度額が3,500万円 まで引き上げられます。
また、贈与税の非課税限度額も拡大されるため、世代間での住宅取得支援がしやすくなるでしょう。
さらに、新築の長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅を対象とした補助金を利用できる可能性があります。これらの制度を活用することで、住宅取得時の経済的負担を軽減できるかもしれません。
ただし、各制度の適用条件や申請期限には注意が必要です。
資産価値の証明ができる
省エネ性能が高い住宅は、将来の売却時に査定額が上がりやすくなる可能性があります。証明書は、住宅の省エネ性能を客観的に示す公的な書類であるからです。
また、カーボンニュートラル推進の観点から、環境配慮型住宅としての価値が高まることが期待されます。さらに、省エネ性能の高さは、将来的な光熱費の削減にもつながるため、長期的な視点でも住宅の価値を維持する要因となります。
このように、証明書は住宅の質を保証する重要な資料となるのです。
証明書を取得しやすい
対象住宅を設計・工事監理した建築士自身が発行できるため、審査機関の審査が不要で、効率的に取得できます。これにより、時間とコストを削減できるかもしれません。
また、設計段階から省エネ性能を意識することで、より効果的な省エネ住宅の実現が可能となります。さらに、建築士が直接証明書を発行することで、設計意図や省エネ性能の詳細を正確に反映させられるでしょう。
このように、証明書の取得のしやすさは、省エネ住宅の普及を促進する要因の一つとなっています。
住宅省エネルギー性能証明書の活用方法
証明書の主な活用方法は、住宅ローン控除の申請、贈与税の非課税措置の利用、補助金の申請などです。
これらの制度を活用することで、住宅取得や改修時の経済的負担を軽減できます。
また、住宅の省エネ性能をアピールする際の客観的な資料としても活用できるでしょう。
住宅ローン控除で使用する
2024年以降、新築住宅の住宅ローン控除申請には省エネ基準適合を証明する書類が必要となります。ZEH水準省エネ住宅の場合、借入限度額は3,500万円(子育て世帯・若者夫婦世帯は4,500万円) です。
この制度を利用することで、長期間にわたって税負担を軽減できます。
ただし、控除を受けるためには一定の条件を満たす必要があるため、詳細は専門家に確認しましょう。
贈与税の非課税措置で使用する
住宅取得等資金の贈与を受けた場合、省エネ性能に応じて非課税限度額が拡大されます。
例えば、省エネ性能の高い住宅の場合、非課税限度額が上乗せされます。 この制度を活用することで、世代間での資産移転がスムーズに行えるので、若い世代の住宅取得を支援できます。
また、贈与税の非課税措置と住宅ローン控除を組み合わせ ることで、さらに大きな経済的メリットを得られる可能性もあります。
ただし、この制度にも適用条件や期限があるため、利用を検討する際は専門家に相談するのがよいでしょう。
まとめ
住宅省エネルギー性能証明書は、住宅の省エネ性能を証明する重要な書類です。
2024年以降の住宅ローン控除申請に必須となっているほか、さまざまな経済的メリットがあります。また省エネ住宅の普及促進と環境負荷低減に貢献する重要なツールとして、積極的な活用が期待されています。
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