【2026年最新版】CASBEEの計算方法を徹底解説|BEE値の算出ロジックとSランク獲得のポイント
CASBEEは、省エネ性能だけでは捉えきれない建築物の環境品質・環境負荷を総合評価できる指標として、設計提案、開発判断、ESG・不動産評価の現場で存在感を高めています。
一方で実務では、「BEE値はどう決まるのか」「省エネ計算とどう連動するのか」「自治体届出と認証は何が違うのか」が分かりにくく、評価の初動が遅れがちです。
本記事では、CASBEEの基本構造、BEE値の見方、評価実務の流れ、東京都制度を例にした留意点まで、設計者・ゼネコン・デベロッパーの実務目線で整理します。
CASBEEの基本と「BEE値」の計算方法
CASBEEは、「環境効率」という独自概念で建築物の性能を評価します。中心的な指標となるのが、BEE(建築環境効率)で、BEEが建築物の最終的な格付けを決定します。
BEEは、CASBEEにおける中核指標で、建築物の環境品質(Q)を、建築物が外部に与える環境負荷(L)で評価する考え方です。
実務上は「建物利用者にとっての質をどれだけ高めたか」と「敷地外に及ぶ負荷をどれだけ抑えたか」を同時に見ます。したがって、高評価のためには省エネ性能だけでなく、室内環境、耐用性、敷地内外への配慮まで含めた総合最適化が必要です。
BEEの計算式

Qは、Quality(品質)です。室内環境の快適性や敷地内への配慮など、建築物を利用する人が享受する「プラスの性能」を意味します。評価シート上では「Q-1〜Q-3」の項目に集計されます。
Lは、Load(負荷)を指します。建築物のエネルギー消費や敷地外への騒音、熱汚染など、建築物が外部環境に与える「マイナスの影響」を包括します。計算式では分母に置きますが、評価では「負荷をどれだけ抑えたか」、つまりLR(環境負荷低減性能)となって採点されます。LR-1〜LR-3のスコアを伸ばすことが、L(負荷)削減につながります。
【注意点】 評価の敷地境界と仮想境界

※ 評価の仕組みと環境効率(BEE)|一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター
CASBEEでは、評価対象を区切る「仮想閉空間」の考え方が重要です。Qはその内側の環境品質、Lはその外側に及ぶ環境負荷として整理されます。
実務では、評価対象範囲を図面上で明確に示し、同一の仮想閉空間を前提に評価を進めるのが基本です。CASBEE建築評価認証では、原則として建物全体を対象に評価し、建物の一部だけを切り出して評価・認証することはできません。複数棟計画や大規模敷地の一部建築では、どこまでを評価対象に含めるかを初期段階で整理しておくことが重要です。
評価項目の構成と採点ルール
CASBEEは、数百にもおよぶチェック項目を積み上げ、計算します。項目は大項目(環境品質・性能と環境負荷低減性能)に大別され、さらに中小項目に細分化されています。各項目は1〜5点の5段階で評価されます。
CASBEE大項目・中項目の分類



CASBEEの採点と重み付け係数
CASBEEでは、各項目の点数(1〜5点)に、あらかじめ設定された「重み係数(w)」を掛けます。重み係数によって、計算結果が大きく変わることも珍しくありません。
たとえば非住宅建築物では、「エネルギー(LR-1)」の重みが高く設定されています。建築物がエネルギーで失点すると、全体のランクに致命的な影響を与えるおそれがあります。
あるいは、用途によっては「敷地内環境」の重みが低く設定されている場合もあります。
限られた予算でCASBEEランクを上げるためには、重み係数を把握しておき、戦略的に計画していく必要があります。
CASBEE計算の具体的な手順
CASBEEの計算実務は、専用のExcel評価ソフトを使います。計算実務の全体像を見てみましょう。
(1) 評価ソフトの選定と入力準備
新築・既存・改修など評価対象に応じて、該当するCASBEE評価ツールを選定します。
実務では、使用するツールの版や自治体制度との関係も確認しながら、評価対象に合ったツールを選ぶことが重要です。
CASBEEの入力に必要となる、以下の図書も準備します。
・意匠図、設備図、構造図
・省エネ計算書(BEI値連動のため)
・植栽図、外構図
・建材の仕様書(VOC情報やリサイクル材含有率など)
(2) データ入力とランク判定

※ CASBEEの基本的な考え方と評価方法|日本建築材料協会
用意した図書をもとに評価ツールへ入力すると、Q側・LR側のスコアとBEEが算出され、結果はBEEチャート上で可視化されます。CASBEEの評価結果は、一般にS、A、B+、B-、Cの5段階で示されます。
実務では、単にランクを見るだけでなく、どの項目が得点源で、どの項目が足を引っ張っているかまで確認することが重要です。
| ランク | 評価 |
| Sランク(★★★★★) | 素晴らしい(BEE値 3.0以上かつ、Qが50点以上など) |
| Aランク(★★★★) | 大変良い |
| B+ランク(★★★) | 良い |
| B-ランク(★★) | やや劣る |
| Cランク(★) | 劣る |
CASBEEでS・Aランクを獲得するポイント
ESG投資や不動産投資の呼び込み、SDGsへの取り組みによるブランディングなどを狙ってCASBEEを利用する場合、上位ランク(Aランク以上)の獲得は必須です。CASBEEで上位ランクを獲得するには、設計初期段階からの対策が重要です。
L1(エネルギー)を「レベル5」にする
CASBEEにて、エネルギー性能の配点は極めて高く設定されています。エネルギー消費の削減は負荷(L)の減少に直結するためです。高ランク獲得のためには、エネルギー効率の向上は必須です。
高ランクを狙ううえで省エネ性能の強化は重要ですが、BELSやBEIの改善だけで自動的にSランクが決まるわけではありません。CASBEEでは、LR1だけでなく、資源・マテリアル、敷地外環境、室内環境、サービス性能、敷地内環境も総合的に見られます。
そのため実務では、設備更新や外皮強化だけでなく、用途変更への対応性、維持管理性、室内環境、外構・景観、地域配慮まで含めて、どこで確実に点を積むかを初期設計で整理することが重要です。
コストを抑えた加点ポイントの入力
CASBEE実務では、性能を上げることと同じくらい、既に設計へ織り込まれている配慮を根拠資料付きで正しく拾い切ることが重要です。
特に、意匠・構造・設備・外構で情報が分散している案件ほど、図面・仕様書・計算書の紐付けが甘いと、本来取れるはずの評価を落とします。ランクを上げるというより、「取りこぼしを防ぐ」という視点で整理すると実務に落とし込みやすくなります。
《隠れた加点要素の例》
・バリアフリー性能:住宅性能表示の「高齢者等配慮対策等級」に準じた設計
・材料の環境配慮:JIS認定のリサイクル材の採用、VOC放散量の少ない建材の選定など
・耐震性の強化:耐震等級2以上の確保
・快適性:自然光の利用、断熱・遮熱性能の向上
・節水:水型機器の採用、雨水・中水の再利用
・交通負荷:公共交通機関へのアクセス、自転車駐車場の整備
自治体条例とCASBEEの関係
実務者がCASBEEに触れる最大の機会は、自治体へ届け出る際でしょう。自治体への届け出義務について、東京都を例に解説します。
東京都建築物環境計画制度
東京都では、延べ面積2,000㎡以上の建築物の新築・増築・改築を行う建築主に、建築物環境計画書等の提出が求められます。
また、東京都制度はCASBEEの考え方を参照しつつも、東京都独自の評価項目や義務基準を含む制度として運用されています。したがって、都内案件ではCASBEE一般論だけでなく、当該年度の東京都制度で何が求められているかを別途確認する必要があります。
認証と届出(自治体版)の違い
CASBEEの活用場面は、大きく分けると第三者認証として活用するケースと、自治体制度に基づく届出・公表に対応するケースがあります。
前者は、対外的な環境性能の可視化やブランディングに有効で、後者は条例対応や行政手続の実務で重要になります。案件ごとに目的を整理し、認証と届出を切り分けて考えることが大切です。
認証と届出の違いを表にまとめました。参考にしてください。
| 項目 | 認証 | 届出 |
| 位置づけ | 任意 | 条例に基づく義務 |
| 審査機関 | 民間の登録審査機関 | 自治体 |
| 厳格さ | 非常に厳しい根拠資料がすべて必要 | 自治体制度に基づく届出必要項目・必要資料は自治体ごとに異なる |
| 主な利用目的 | 建築物のブランド力向上環境性能アピール | 条例の遵守建築確認申請等に伴う行政手続対応 |
| 交付文書 | 認証書・マーク | 届出書、公表(ランク認定なし) |
CASBEEの計算方法に関するQ&A
CASBEEの計算方法について、よくある疑問にQ&A形式で回答します。
Q1. BELSで省エネ性能が良ければ、自動的にSランクになりますか?
A.必ずしもそうではありません
BELS等の省エネ評価が高いことはCASBEEでも有利ですが、それだけでSランクが確定するわけではありません。CASBEEはQとLRを総合化して評価するため、室内環境、機能性、耐用性、敷地内外への配慮なども結果に影響します。
実務では、「省エネで勝つ」だけでなく、「非エネルギー項目で落とさない」設計・資料整備が重要です。
Q2. 計算ソフトは誰でも簡単に使えますか?
A.不可能ではありませんが、正確な計算結果取得には専門知識が必要です
入力作業そのものは可能でも、評価対象範囲の設定、項目解釈、根拠資料の整合確認まで含めると、CASBEE実務には専門性が必要です。
特に、対外提示や認証申請を前提とする場合は、評価結果の説明責任や透明性が求められるため、評価経験者の関与を前提に進めた方が安全です。
Q3. CASBEE高評価のために、後から仕様を変えるのは大変ですか?
A.後半になるほど、設計変更のコストが増大します
CASBEEは、階高や構造、開口部などの建築物そのものの基本性能の評価項目が多めです。そのため、内装工事開始後にランクを上げようとしても、限界がある点は押さえておいてください。
建築物の企画・基本設計の段階で目標ランクを定め、計算シミュレーションを行いながら目標達成をめざすやり方が、もっともコストパフォーマンスに優れています。
まとめ
CASBEEは、建築物の環境品質と環境負荷を一体で可視化できる有力な評価手法です。一方で実務では、単なる計算作業ではなく、評価対象範囲の整理、図書間整合、自治体制度対応、対外説明まで見据えた運用が求められます。
とくに設計者・ゼネコン・デベロッパーにとって重要なのは、申請直前に点数を積みにいくことではなく、基本計画・基本設計の段階で「どの評価軸で取りにいくか」を決めることです。
CASBEEを確実に実務へ乗せるには、評価ロジックだけでなく、制度、図書、工程をセットで押さえることが成功の近道です。
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