建築確認申請費用の相場はいくら?費用を左右する5つの要因も解説
2025年4月施行の建築基準法改正(旧4号特例の縮小)に伴い、これまで審査が省略されていた一般的な木造2階建住宅(新2号建築物)においても、構造・省エネ関連図書の提出および審査が義務化されました。 これにより、確認申請にかかる業務量や図書作成の手間が増大し、それに伴う申請費用の増加や外注費用の見直しを迫られている設計者や施工者も多いのではないでしょうか。
この記事では、最新の建築確認申請にかかる費用の相場と、費用を左右する要因について解説します。 建築主への適切なコスト説明や、社内の業務効率化(外注等の検討)の参考にしてください。
建築確認とは
建築確認とは、建築物を新築・増改築する際に建築基準法や関連法規に適合しているかを着工前に確認する手続きです。
建築基準法では、国民の生命・健康・財産を保護するために、建築物の敷地・構造・設備・用途に関する最低限の基準が定められています。
建築確認で適合を認められない建築物には着工許可が下りないため、工事を予定通り行うには建築確認をスムーズにクリアすることが鉄則です。
建築確認の対象建築物
建築確認の対象建築物は、原則これから新築・増改築するすべての住宅・非住宅です。
ただし次のいずれかひとつに該当する場合、建築確認の対象外になります。
・建築基準法が定める建築物に該当しない小屋や物置
・防火地域および準防火地域「外」における、床面積10㎡以内の増築・改築・移転
・既存建築物の減築
・文化財保護法に指定されている建築物
・仮設建築物
・床面積200㎡以下の建築物の特殊建築物への用途変更
適合義務がある建築物で申請を怠ると違法物件になるため、必ず申請しましょう。
建築確認の申請先
建築確認の申請先は、建築主事または国が認める民間の指定確認審査機関です。
2つの違いは次の通りです。
| 建築主事 | 指定確認審査機関 | |
| 対象範囲 | 建築主事の所在地にある建築地 | 業務エリアにある建築地 |
| 交付までの期間(※法的な審査期間の上限日数は共通) | 一般的にスケジュールに余裕を見る必要がある | 民間ならではのサービスとして、事前審査を含め迅速に対応する傾向がある |
| 費用 | 低価格 | 建築主事より高い傾向 |
指定確認検査機関であっても、建築基準法に基づく審査期間(35日以内など)は適用されます。しかし、民間のサービスとして、柔軟な事前相談や電子申請などを活用することで、建築主事に比べてスピーディに確認済証が交付される傾向にあります。
建築確認の申請に必要な書類
建築確認の申請に必要な書類は、建築物の用途や設備によって異なります。
木造住宅の場合、一般的に必要な書類は次の通りです。
・建築確認申請書
・建築計画概要書
・建築工事届
・委任状(代行を依頼する場合)
・付近見取図(案内図)
・各階平面図
・配置図
・立体図または断面図
・求積図
・シックハウス検討書関連
・仕上表
必要書類は機関によって多少異なるので、必ず申請先の要項を確認しましょう。
建築確認を申請する流れ
建築確認を申請する流れは、次の通りです。
①建築主が着工前に建築主事または指定確認検査機関へ申請する
②建築主事または指定確認検査機関が申請内容を確認し、建築基準法に適合しているか審査・判断する
③建築主事または指定確認検査機関が確認済証を建築主に交付する
建築主が確認済証を受け取ることで、工事に着手する許可を得られます。
建築確認にかかる期間の目安
建築確認の申請から交付までの法的審査期間は、7〜35日です。

引用:国土交通省「建築確認申請に係る法的期間に関する基礎データ」
指定確認審査機関は法的審査期間の対象外なので、機関の能力に左右されます。
建築主、指定機関どちらに依頼する場合も、申請書類や図書に不備があると修正等が必要になり、審査期間が延長されます。
また、混雑状況によっては2カ月程度かかるケースもあるので、余裕を持ってスケジュールを組みましょう。
建築確認申請の相場はいくら?
建築確認の申請にかかる費用には、大きく分けて「審査手数料」と「申請代行手数料」があります。
それぞれの特徴と相場を詳しく解説します。
審査手数料の相場
審査手数料とは建築主事や指定機関に審査を依頼する費用として、建築確認を行う場合に必ず発生する手数料です。
建築物の延床面積や構造に応じて、自治体や指定機関ごとに規定されています。
審査手数料の相場は、延床面積100㎡前後の木造2階建住宅で数万円〜10万円程度、2000㎡規模の非住宅で15万〜40万円程度です。
※注意点:2025年4月の法改正(特例縮小・省エネ基準適合義務化)に伴い、新2号建築物の審査項目(構造・省エネ)が増加したため、多くの特定行政庁や指定確認検査機関で手数料の改定(値上げ)が実施されています。予算立ての際は、最新の手数料条例や機関の料金表を必ず確認してください。
申請代行手数料の相場
審査代行手数料とは、申請を建築士や設計事務所に代行してもらう際に発生する費用です。
法律上、建築確認申請を行うのは原則建築主と定められていますが、申請に必要な図書や設計には専門知識が必要なので、建築士などの専門家に代行を依頼するのが一般的です。
申請代行の手数料の相場は、延床面積100㎡前後の木造2階建住宅で10万〜20万円程度、500㎡程度の鉄骨造ビルで50万〜100万円程度です。
建築確認申請の費用を左右する5つの要因
建築確認申請の費用が高額になる理由には、主に5つの要因があります。
それぞれの概要について詳しく解説します。
地域や審査機関
前述してきた通り、手数料の価格は自治体や指定機関ごとに規定されています。
自治体と指定機関では、自治体の方が低価格な傾向です。
例えば2026年度に延床面積100㎡の木造2階建住宅の建築申請を行う場合、各自治体が規定している価格は次の通りです。
代表的な指定機関の規定している価格は、次の通りです。
| 機関名 | 延床面積100㎡の2階建住宅にかかる手数料 |
| 日本ERI株式会社 | 58,000円 |
| 株式会社東京建築検査機構 | 116,000円~ |
| 株式会社日本確認検査センター | 40,000円 |
価格面のみに注目すれば、自治体に申請した方が費用を抑えられる可能性が高いでしょう。
面積
どのような審査機関に依頼しても、延床面積が広いほど手数料は高くなります。
例えば千葉県の建築主事に申請する場合、延床面積ごとの価格は次の通りです。
| 延床面積 | 手数料 |
| 30㎡超~100㎡以下 | 19,000円 |
| 100㎡超~200㎡以下 | 33,000円 |
| 200㎡超~300㎡以下 | 43,000円 |
| 300㎡超~1000㎡以下 | 71,000円 |
| 1000㎡超~2000㎡以下 | 100,000円 |
100㎡と2000㎡では、5倍近く価格差があるとわかります。
用途
審査機関によっては、建築物の用途によって手数料を定めている場合があります。
例えば木造2階建て住宅を1類、兼用住宅・共同住宅・長屋・寄宿舎等を主要目的にした住宅を2類にするケースです。
前者の方が審査が複雑でないため、費用は安い傾向です。
構造
一定規模以上の建築物(例:木造等で高さ13m超、鉄骨造で4階建て以上、鉄筋コンクリート造で高さ20m超など)や、特殊な構造方法を用いる場合は、通常の確認審査に加えて、指定構造計算適合性判定機関等による「構造計算適合性判定(適判)」が必要です。 適判対象物件は、判定手数料が別途発生するため、確認申請全体の費用が大幅に跳ね上がります。
また、2025年4月以降は、適判対象外の一般的な木造2階建住宅(新2号)であっても、確認申請内で構造関係規定(壁量計算など)の審査が行われるため、以前に比べて費用負担が増加しています。
追加審査・追加業務
建築確認の申請後、審査機関から申請内容の不備やミスを指摘された場合、適合性を証明するための追加図面の用意や、修正した図面の差し変えを行うのが基本です。
その際、追加審査・追加業務として手数料が上乗せされる可能性があります。
建築確認申請の費用が高い?コストを抑えるコツ
建築確認申請の費用が高くなる原因は、延床面積が広い・構造審査の対象である・追加審査がかかったなど、さまざまです。
それらを抑えれば当然費用は安くなりますが、面積を縮小したり構造を変えたりすることで目的に合った建築物を建てられなくなってしまったら本末転倒でしょう。
そこで力を入れるべきなのが、追加審査や業務が発生しない、正確な申請書類の準備です。
追加審査にかかる費用は、本来支払う予定のなかった余計な出費です。
建築確認は専門的なうえ、省エネ適判と同時進行で行うため非常に労力を使いますが、省エネ適判を省エネ計算の代行業者へ外注するなどして、建築確認申請に注力できる環境を整えることもおすすめします。
建築確認申請費用でよくある質問3選
ここでは建築確認申請費用でよくある質問を、3つ解説します。
建築確認申請費用は誰が払う?
原則的に、建築確認申請にかかる費用は建築主が負担します。
ハウスメーカーや工務店では、すでに工事費や確認申請費として建築価格に含まれていることが多く、設計士や建築士に依頼する場合は直接費用を請求されることが多いでしょう。
建築確認申請を建築主が自分で出すことはできる?
建築確認申請は建築主が出すように法文で定められているため、申請自体は可能です。
しかし、構造計算書や省エネ計算書などを作成するのに専門知識とソフトが必要なため、建築に精通していない個人が申請するのはほぼ不可能です。
図書にミスや不備があると審査に通らず、余計な時間や出費が発生するうえ、工期が大幅に遅れる恐れがあるので、専門家に任せた方が安心でしょう。
カーポートにかかる建築確認申請費用の相場は?
カーポートを設置する場合、下記の条件にひとつでも適合すると確認申請の対象です。
・延床面積が10㎡を超える
・新築時に施工する
・基礎が地面に固定されている
・防火地域または準防火地域に設置する
既存住宅にカーポートを後付けする場合、建築士や設計士に代行を依頼すると、8万〜20万程度が相場で、業者によって費用に大きな差があります。
まとめ
建築確認申請の費用は、建築物の用途や規模・構造・依頼する審査機関によって大きく変動します。建築確認申請の費用は、用途や規模、適判の有無、そして依頼する審査機関によって大きく変動します。 単純に「審査手数料が安いから」という理由だけで建築主事を選ぶと、事前相談や審査に時間を要し、結果的に工期遅延というより大きなコストロスを招くリスクがあります。ゼネコンやデベロッパーにおいては、審査のスピードや柔軟性を考慮し、コストとスケジュールのバランスを見極めて機関を選定することが重要です。
また、2025年4月の法改正(特例縮小・省エネ適合義務化)以降、設計者にかかる図書作成(構造・省エネ)や質疑対応の負担は急増しています。 申請図書の不備による追加審査や期間延長を防ぐためにも、省エネ計算や構造計算、各種認定申請などは専門の代行業者へ外注(アウトソーシング)し、社内の設計リソースを企画や意匠設計に集中させる環境づくりを検討してみてはいかがでしょうか。
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