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BEIを下げるには?建築物の省エネ性能を上げるための方法

建築物のエネルギー効率を高めるための指標、BEIに注目していますか?
BEIは、2050年カーボンニュートラルの達成に向けた重要な鍵となります。
本記事では、BEIとは何か、そしてBEIを下げるための方法について解説します。
具体的な機器選びや、サッシ、断熱材の選定に至るまで、幅広いアプローチのほか、ZEH、長期優良住宅、建築物省エネ法などBEIに関連する法令や補助金制度も取り上げます。
省エネ性能の高い建築物設計に役立つ情報を知りたい方はぜひ最後まで読んで参考にして下さい。

BEIとは

BEI(Building Energy Index)は、建築物のエネルギー効率を評価するための指標です。これは、特定の建築物の一次エネルギー消費量を基準値と比較して表されます。BEIの計算式は以下の通りです。

BEI=設計一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量

建築物省エネ法において、BEIは重要な指標とされています。例えば、新築住宅や建築物の省エネ基準適合を判断する際、BEIの値が1.0以下であれば基準に適合しているとされます。これは、建築物の一次エネルギー消費量が基準値以下であることを意味します。

設計一次エネルギー消費量

設計一次エネルギー消費量とは、建築物の設計や仕様に基づいて計算された一次エネルギー消費量です。住宅の外皮性能と、冷暖房、換気、照明、給湯などの設備機器の影響を受けます。

基準一次エネルギー消費量

基準一次エネルギー消費量とは、建築物の省エネ基準における基準値です。この値は、建物の床面積や地域などに応じて変わります。具体的には、平成25年省エネ基準相当の外皮性能を持つ建築物と、2012年時点の標準的な効率の設備機器(暖房、冷房、換気、照明、給湯)を基準とし、これらの合計一次エネルギー消費量に係数0.9を掛け、家電や調理に関する一次エネルギー消費量を加算して得られる数値です。

2050年カーボンニュートラルについて

昨今、建築物の環境配慮が特に注目されるようになった背景に、2050年カーボンニュートラルの実現目標があります。
2050年カーボンニュートラルの目標は、世界的な気候変動対策の中核です。この目標達成には、温室効果ガス排出量の大幅な削減と、植林や森林管理を通じた吸収量の増加が不可欠です。建築業界では、BEIや一次エネルギー消費量といった指標を用いて、建築物の省エネ性能を高めることが求められています。

BEIを下げる方法

BEIを下げて省エネに優れた建築物をつくるためには2つの方法があります。

  • 省エネ設備を導入する
  • 省エネ設備を導入する

具体的な方法を詳しく解説します。

省エネ設備を導入する

省エネに効果的な設備は以下の4つです。

  • エアコン
  • 給湯器
  • 換気設備
  • 照明

それぞれ具体的な内容を解説します。

エアコン

高効率エアコンの導入は、大きな省エネ効果が期待できます。エアコンは、建築物における消費電力がもっとも多い電気設備だからです。

家庭用のルームエアコンは消費効率によって「いろは」の区分があります。その中でも「い」区分が最も省エネ効果が高いとされています。この区分は消費者にとってわかりやすく、エアコン選びの指標となります。また、業務用エアコンの市場でも省エネ商品の開発が進んでいます。ビル用や店舗用など、設置状況や使用状況に合わせた様々な高効率製品が選択可能です。

高効率エアコンの導入は、BEIの低減に直結するため、建築物の省エネ化に重要な役割を果たします。

給湯器

高効率給湯器を導入することで、建築物のBEIを下げられます。給湯器は、その種類によって省エネ効率が大きく変わるからです。

具体的には以下のような種類の給湯器があります。

  • お湯を作りながら発電するコージェネレーションシステム
  • 空気熱を利用するヒートポンプ式給湯器
  • 潜熱を回収して利用する高効率ガス給湯器
  • ヒートポンプ技術と潜熱回収技術を組み合わせたハイブリッド型給湯器

これらの省エネ性能が高い給湯器の導入は、BEIを効果的に下げる手段となります。

換気設備

効率の高い換気設備を導入すると、建築物のBEIを下げ効果が期待できます。その理由は、換気による熱損失を減らせるからです。

具体的な例として、第一種換気システムが挙げられます。給気と排気を機械で制御し、熱交換システムを導入するというものです。そうすることで季節に応じて最適な温度の空気を建築物内に取り込めます。

高効率の換気システムは、エネルギー消費を抑え、BEI値の改善に寄与します。

照明

省エネ効果の高い照明の導入は、建築物のBEIを下げる上で効果的です。特に建築物の規模が大きい場合や、点灯時間が長い場合に省エネ効果が期待できます。一般社団法人日本エネルギー研究所の調査では、家庭での消費電力の約11%が照明によるものです。

具体的な例として、消費電力が少ないLED照明の導入が挙げられます。LEDは従来の蛍光灯や白熱灯などの照明器具に比べて消費電力が少なく、長寿命です。さらに、LED照明に調光機能やセンサーを組み合わせることで、必要な時だけ必要な量の照明を使用し、無駄な消費を抑えられます。

このように省エネ効果の高い照明を採用することで、建築物全体のエネルギー効率を向上させる重要な要素となります。

外皮性能を上げる

外皮性能が向上するとBEIが下がります。その理由は、外皮の性能が上がることでエネルギー効率が高まるからです。外皮性能を上げるためにこだわるべきは以下の2つが考えられます。

  • サッシ
  • 断熱材

断熱性能を上げるための具体的な施策について解説します。

サッシ

外皮性能を向上させるためには、サッシを高断熱・高性能なものにすることが有効です。建築物の外部から伝わる熱は、大部分がサッシを通じて内部に入り込むからです。

具体的な対策として、高断熱サッシの使用が挙げられます。高断熱サッシは、熱の伝導率を低減し、冷暖房にかかるエネルギーを節約する効果があります。さらに、建築物の西側にサッシを極力設けないことも重要です。西側は夕日による熱の影響が大きく、サッシの設置を抑制することで熱負荷を減らせます。また、熱取得が望める南側を除き、他の方向には大きなサッシを設けないことも効果的です。これにより、不要な熱の侵入を防ぎ、外皮性能の向上に寄与します。以上のように、高断熱サッシの選択と配置によって、建築物の外皮性能は大きく改善されます。

断熱材

建築物の外皮性能を上げるためには、床、壁、天井に断熱材をしっかりと充填し、高性能な断熱材を用いることが有効です。この結論の根拠は、建築物の外に面する部分(外皮)を断熱材で覆うことで熱の逃げを防げるという事実にあります。断熱材の適切な使用により、室内と室外の温度差による熱の移動を大幅に減少させられます。

具体的な例としては、天井断熱を強化することで冷房効率を上げられます。天井からの熱の流入を防ぐことにより、夏場の室内温度の上昇を抑える効果があります。また、床断熱を強化することで、暖房効率が向上します。床からの冷気の侵入を防ぎ、暖かい空気を室内に保持することができるため、冬場の快適性が高まります。さらに、壁については、充填断熱に加えて外断熱を行うことで、より効果的な断熱が実現します。外断熱は、壁自体の熱伝導を抑制し、室内の温度変動を最小限に抑えることが可能です。このように、床、壁、天井に高性能な断熱材をしっかりと充填することで、建築物の外皮性能が向上し、エネルギー効率の高い住環境を実現できます。

BEIが関係する関係法令や補助金

BEIはたくさんの法令や補助金などの国の施策と関係しています。建築物の省エネ性能を明瞭に表すため、環境への配慮を目的とした法令や施策の指標にしやすいからです。具体的には以下のような施策と関係しています。

  • ZEH・ZEB
  • 長期優良住宅
  • 建築物省エネ法

これらについて、以下で詳しくご説明します。

ZEH・ZEB

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)基準の達成には、BEI(基準一次エネルギー消費量)の数値が重要な役割を果たします。これらの基準は、省エネ効果が高い建築物に対して補助金を付与する制度であり、建築物からの二酸化炭素排出量の削減を目指す重要な施策です。それぞれの基準は以下の通りです。

  • ZEH基準:BEI値0.80以下
  • ZEH+基準:BEI値0.75以下
  • ZEB基準:BEI値が0.50以下

長期優良住宅

長期優良住宅は、耐久性と居住環境に配慮した設計です。長期間にわたり良好な状態を維持できる住宅のことを指します。必要項目に省エネ性能が含まれ、認定には定められた断熱性能のクリアが必要です。

元々は断熱等性能等級が4、一次エネルギー消費量等級は基準がありませんでした。しかし2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向けて、2022年10月1日より基準が変更されました。断熱等性能等級が5、一次エネルギー消費量等級が6(BEI≦0.8)改訂されています。

光熱費負担や環境配慮の観点から、長く住み続けられる住宅に省エネ性能は不可欠です。

建築物省エネ法

BEIは、建築物省エネ法において中心的な役割を担っています。この法律は、建築物のエネルギー効率を向上させることを目的とし、BEIはその効率を数値化する指標として利用されます。
新築建築物に適用されるエネルギー効率基準の遵守を確認するためにBEIが使用され、これにより建築家や開発者は省エネルギー設計を推進することが求められます。BEI基準の達成は、エネルギー消費の削減と二酸化炭素排出量の低減に寄与し、環境保護への貢献を目指します。これらのプロセスを通じて、建築物省エネ法はエネルギー効率の高い建築物の普及を促進し、持続可能な建築環境の実現を目指しています。

まとめ

BEIの値を下げて建築物の省エネ性能を向上させる方法について解説しました。BEIは、2050年カーボンニュートラルの達成に向けて重要な役割を果たします。持続可能な環境のために省エネ性能の高い建築物を目指しましょう。

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