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住宅性能評価とは?評価対象10項目と取得のメリット

住宅の性能を審査する住宅性能評価を取得することで、自分が住んでいる住宅の性能を把握することができます。
ここでは、住宅性能評価とは何か、評価対象となる10項目と住宅性能評価を取得することのメリットとデメリットを解説しています。

住宅性能評価とは?

住宅性能評価とは、国が定めた評価基準によって住宅の性能を客観的に評価する指標のことを示します。
審査機関に必要書類を提出し、住宅性能表示制度に基づいて評価されます。
その評価された内容を証明書にして発行されます。

申請方法

住宅性能評価を取得するためには、審査機関へ必要書類を提出しなければなりません。
必要となる書類は申請書や設計内容説明書、平面図などの設計図書、外皮計算・一次エネルギー計算書、構造計算書、設備機器仕様書、地盤調査報告書などです。
これらの書類を一式用意して審査機関へ提出、不足の書類や修正箇所など審査機関からの指摘事項があれば、それにしたがって書類の準備や図面の修正を行います。
書類の内容に問題がなければ審査機関から評価書が交付されます。

設計住宅性能評価と建設住宅性能評価の違い

住宅性能評価には、「設計住宅性能評価」と「建設住宅性能評価」があります。
設計住宅性能評価は、設計段階での図面や計算書などをチェックして評価し、評価書が交付されます。
そのため、着工していても申請をすることが可能です。
ただ、着工後の指摘で大きな修正がある場合、すでに工事が進んでいて修正図面の通りに工事の是正を行えなくなり、設計住宅性能評価通りの住宅にならない可能性もあります。
いずれにしても、着工前までには申請・審査を受けることをおすすめします。

建設住宅性能評価は、設計段階での設計住宅性能評価に加えて現場での審査を受けて初めて評価書が交付されます。
建設住宅性能評価を取得するためには、あらかじめ設計住宅性能評価を受け、その内容にそって工事が進められているかを評価するため、必ず着工前までに設計住宅性能評価の取得が必要です。
現場での審査は、一般的な木造住宅の場合、以下の4回の審査を受けます。

  • 基礎の配筋工事を完了した時点
  • 構造躯体の工事が完了した時点
  • 内装下張り工事の直前
  • 建物が竣工した時点

上記の検査時期以外の工程でも、施工記録などを提出して管理体制が徹底しているかを評価されます。

既存住宅の住宅性能評価

中古住宅の場合、既存住宅の住宅性能評価を受けることが可能です。
審査機関から「現況検査」を受け、既存住宅の住宅性能評価書を交付してもらえます。
審査は目視で行われます。
既存住宅の住宅性能評価を受けるメリットは、中古住宅を売買する時に劣化状況や不具合を客観的に示すことができる点です。
評価書にそって内容を説明できるため、売主と買主がそれぞれお互い納得して契約を進めることができます。
また、評価書の内容に沿ってリフォームや修繕計画も立てられるためその点でも便利です。

住宅性能評価で評価される10項目

住宅性能評価では10項目の評価内容があります。
ただ、10項目全ての基準をクリアしなければならないわけではありません。
これから紹介する【必須】と記載した項目は、必須項目となります。
他の6項目は選択型なので依頼人が希望した場合に任意で選択ができます。
それでは10項目それぞれの内容を見ていきましょう。

【必須】構造の安定

住宅は地震・雨風・積雪など自然の様々な影響を受けます。そのため年月が経つにつれて劣化していき、財産としての価値を失っていきます。
この項目ではそれらに対する建物の強度や、その強度を発揮するために前提となる基礎や地盤を評価します。

【必須】劣化の軽減

住宅に使用されている建材は外気や水分によって、劣化してしまいます。それによって、住宅の本来の性能を維持することが難しくなり、補修や改修が必要となります。
この項目では建材の中でも比較的に耐用年数が長いもののうち、特に柱や土台などの構造躯体に使われる材料について、劣化を軽減させる対策がなされているかを評価します。

【必須】維持管理・更新への配慮

給・排水管やガス管などは内外装によって隠されてしまうことが多いです。そのため、不備があった際に点検や補修を行うことが難しいことがあります。
この項目では、比較的に耐用年数が短いもののうち、給・排水管やガス管に着目して点検・清掃・修繕のしやすさを評価します。

【必須】温熱環境・エネルギー消費量

室内で快適に過ごすには温度を適切に制御する必要があります。そのためには構造躯体における断熱性の向上などの工夫が求められます。この項目では、特に重要である外皮の断熱等性能と、冷暖房などの設備を総合的に評価した一次エネルギー消費量について評価します。

火災時の安定

火災時の早期発見のしやすさや延焼を防止するための対策、内部火災に建物がどれくらいの時間耐えられるか、安全な避難を確保できるかについて評価します。

空気環境

室内に、ほこりや一酸化炭素等の化学物質が含まれていると、人体に影響を及ぼす可能性があります。この項目ではその化学物質の中でも特に発生しやすく、影響を及ぼしやすいものについて、濃度を下げるための換気対策などが講じられているかについて評価します。

光・視環境

室内において、視覚に負担をかけない程度に必要な光量を確保することは大切です。
この項目では、開口部の採光や通風といった効果に着目し、開口部の位置や居室の床面積に対する割合について評価します。

音環境

騒音は不快に感じやすく、特に共同住宅では隣接する住戸から聞こえる音は快適性も大きく影響します。
この項目では外壁や床、窓における遮音性について評価します。

高齢者等への配慮

高齢者は住宅の中でも思わぬ事故に遭うことがあります。また、介護等を行う際には十分なスペースが確保できずに不便に感じることもあります。
この項目では、移動する際などの安全性の高さや介護などのしやすさを対象として、高齢者等に配慮されているかを評価します。

防犯

近年、住宅における侵入および盗難が増えてきたことによって、防犯に対する意識が高まっています。
この項目は、特に開口部分に防犯対策が施されているかを確認し、建物内部への不法侵入のしにくさを評価します。

住宅性能評価取得のメリット

ここからは住宅性能評価を取得することのメリットを解説します。

マイホームの性能を数値で確認できる

性能評価では先に述べた10項目を審査し、最終的に評価書を確認することで自分の住宅がどのくらい高性能なのかを確認できます。
耐震性や断熱性の優れた住宅であることがわかるため、将来の売買時にも性能の高さをアピールして高く売れる可能性もあるでしょう。

住宅ローン・地震保険料などの優遇措置が受けられる

住宅ローンにフラット35を利用する場合、性能評価を取得すれば、当初一定期間の金利が引き下げられる「フラット35S」を利用することが可能です。
評価を受けている項目によっては、10年もの間、金利引き下げを受けられる可能性もあります。
また、地震保険料に関しても優遇措置が受けられます。
耐震等級3を取得すれば50%もの割引が適用されるため、依頼人にとってもお得です。

贈与税の税制優遇が受けられる

住宅を購入・取得・増改築する際に、両親や祖父母から住宅取得のための資金の贈与を受ける人もいます。
その時に、省エネ性・耐震性・バリアフリー性に優れた住宅を購入していると、贈与税の税制優遇を受けることが可能です。
住宅性能評価書で証明することで、非課税限度額が最大500万円まで加算されます。

資産価値が評価される

住宅の性能が評価されているので、資産としての価値も証明されます。
将来、売買などで手放す際に、一般的な住宅よりも高く売れる可能性があるのです。

トラブル発生時に紛争処理機関の利用が優遇される

設計住宅性能評価と建設住宅性能評価のどちらも取得している住宅の場合、ハウスメーカーや工務店とトラブルになった時に、建築士・弁護士による相談を無料で受けることが可能です。
指定住宅紛争処理機関への紛争処理の申請もできるため、個人で対応するよりも早くトラブルを解決できる可能性があります。

住宅性能評価取得のデメリット

住宅性能評価を取得すると多くのメリットが得られますが、デメリットも存在します。
デメリットを4つご紹介します。

建築費用が高くなる

住宅性能評価の評価を受けるためには、住宅そのものの性能を高めなければなりません。
例えば、耐震等級3を取得する場合、計算内容によっては壁や柱を増やしたり、梁や火打をたくさん使ったりする必要も出てきます。
壁や柱を増やすということは、当初の間取りから少し変えなければならない場合もあります。
また、温熱環境・省エネ環境で良い性能を取得したいなら、断熱材を高性能のものに変えたり厚みを変更したりしなければなりません。
浴槽を高断熱浴槽にしたり、節水・節湯機能のある高性能な水栓に変えたりする必要もあるかもしれません。
このように性能を高めるための措置を行うと、当然トータルの建築費用も高くなります。
コストがかかっても住宅性能評価を取得するメリットがあるのかどうかをよく考えましょう。

取得のための申請費用がかかる

住宅性能評価は審査機関によって評価されることで評価書が交付されます。
そのため、申請による手数料が発生します。
また、申請のために図面や計算書を作成する必要があり、その対応費用も発生します。

全ての項目で高い評価を得るのは難しい

住宅性能評価の10項目全てで高い評価を取得したいと思う方もいるかもしれません。
しかし、実はこれはとても難しいことです。
なぜなら相反する評価をする項目があるからです。
例えば、温熱環境・エネルギー消費量で最高等級を取得したい場合、断熱等級5を取得する必要があります。
断熱等級で高い評価を取得するためには、できるだけ窓を小さくして外皮の面積を大きくすることで取得しやすくなります。
しかし、窓を小さくすると家に入る日の光が制限されてしまうため、光・視環境で高い評価を取得できない可能性があるのです。
住宅性能評価を取得する場合は、どの項目を優先するかなどを考え、どのレベルの等級が必要になるかを判断しましょう。
全ての項目で最高等級を取得できるとは限らないことを、頭に入れておく必要があります。

設計デザインが制限される可能性がある

先にも少し述べましたが、性能評価書を交付してもらうために、住宅の性能を上げなければなりません。
例えば、耐震等級3を取得したいが、現状の間取りでは等級3を取得するのが難しい場合、間取りを変更して耐震性能を高めなければならない場合もあります。
より省エネ効果の高い住宅にするために、屋根を希望している形状から、太陽光をたくさん集められる形状に変更しなければならないこともあるでしょう。
このように、高い性能の住宅を設計し性能評価を取得するために、設計デザインが制限される可能性もあります。
自分が求めるデザインとは違う形状の家になる可能性があることは、あらかじめ承知の上でプランを検討するようにしましょう。

【まとめ】優先したい項目を決めて取得しよう

住宅性能評価を取得することで、住宅の資産価値を客観的に評価してもらえます。
ただ、全ての項目で最高等級を取得することは難しいため、どの評価を取得したいか優先順位を決める必要があります。 住宅性能評価を取得するためには、設計段階での検討が必要になってくるので、取得を希望される方はハウスメーカーや工務店に早めに相談をしましょう。

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