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ZEH水準省エネ住宅とは?ZEHとの違いや性能証明書の取得方法を解説

2025年4月の省エネ基準適合義務化に続き、2030年に向けて省エネ基準が「ZEH水準」へと引き上げられるロードマップが進行しています。さらに税制面でも、2028年以降は省エネ基準適合住宅が住宅ローン減税の対象外となるため、今後の分譲・注文住宅において「ZEH水準」の標準化は避けて通れない必須条件となっています。 一方で、「創エネ(太陽光)を伴うZEHとZEH水準住宅の実務上の違い」や「どの証明書を取得するのが最もコスト・工数面で有利か」に頭を悩ませる設計者・事業者も少なくありません。

本記事では、プロ向けの実務知識として、ZEH水準省エネ住宅の基準値、ZEH住宅との違い、証明書取得のルート、そして設計・申請工数を圧迫させないための外注戦略を徹底解説します。

2030年までに省エネ基準がZEH水準まで引き上げへ

2025年4月に、原則すべての住宅で省エネ基準への適合が義務化されました。

さらに2030年度までに、住宅の省エネ基準をZEH水準まで引き上げが予定されています。

どちらも2050年までにカーボンニュートラルを実現させるという、日本政府が掲げる目標を達成するための取組です。

そのような中で省エネ住宅の代表として扱われているのが、ZEH住宅です。

ZEHとは

ZEHとは、省エネと再エネを組み合わせることで、住宅で消費するエネルギーを正味ゼロにすることを目的とした省エネ住宅です。

断熱性能を高めることで住宅で消費するエネルギーを削減し、高性能設備を導入して必要最低限のエネルギーで運用、そして消費するエネルギーに太陽光発電等の自然由来エネルギーを活用して、「ネット・ゼロ・エネルギー」を目指します。

引用:国土交通省「ご注文は省エネ住宅ですか?」

正式にZEH住宅だと広告を打つためには、BELS評価によるZEH認証が必要です。

ZEHの認証基準は、次の通りです。

・断熱性能等級5以上

・一次エネルギー消費量等級6以上

・再生可能エネルギーを含めてエネルギー削減率100%以上

それぞれの評価内容について、詳しく解説します。

断熱性能等級5以上

断熱性能とは室内外の熱の出入りを少なくし、室内で快適な温度を保ちやすくするための性能です。

住宅の断熱性能を消費者に分かりやすく示す指標として「断熱性能等級」があり、ZEH認証には等級5を満たす必要があります。

等級基準施行
等級7平成28年の省エネ基準よりも冷暖房にかかるエネルギーを40%程度削減できる2022年10月
等級6平成28年の省エネ基準よりも冷暖房にかかるエネルギーを30%程度削減できる
等級5ZEH水準と同等2022年4月
等級4平成28年の省エネ基準と同等2000年4月

断熱等級を決定する要素は、UA値(外皮平均熱貫流率)とηAC値(平均日射熱取得率)で、地域ごとに基準が定められています。

引用:国土交通省「断熱性能」

省エネ基準である等級4とZEH水準である等級5の、具体的な数値は次の通りです。

地域区分12345678
等級5(ZEH水準)UA0.400.500.60–
ηAC–3.02.82.76.7
等級4(省エネ基準)UA0.460.560.750.87–
ηAC–3.02.82.76.7

※日本の主要都市の多くが該当する「6地域(東京・大阪・名古屋等)」および「7地域」では、UA値0.60以下を達成することがZEH水準の必須要件となります。8地域(沖縄等)は冷房期の日射遮蔽性能(ηAC値)のみが基準となります。

ηAC値は等級4と5で差はありませんが、UA値ではより厳しい性能が求められます。

一次エネルギー消費量等級6以上

一次エネルギー消費量とは、住宅で使われる設備機器の消費エネルギーを熱量に換算した値で、BEIという計算式で算出します。

引用:国土交通省「省エネ基準の概要」

断熱性能等級と同じく、消費者に分かりやすく省エネ性能を伝える指標として「一次エネルギー消費量等級」が設けられており、ZEH認証では一次エネルギー消費量等級6以上が求められます。

等級BEI
等級60.8以下(ZEH水準と同等)
等級50.9以下
等級41.0以下(省エネ基準と同等)
等級31.1以下(既存のみ)

ZEH水準では、省エネ基準よりも20%以上のエネルギー削減が必要です。

再生可能エネルギーを含めてエネルギー削減率100%以上

ZEH住宅では、省エネ性能により消費エネルギーを20%以上削減するのにプラスして、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備により、残りの80%のエネルギーを創エネで賄います。

引用:環境省「省エネ住宅とは」

省エネ+創エネで消費エネルギーを100%以上削減するというのが、ZEH住宅ならではの特徴です。

ZEH水準省エネ住宅とは

現在、2030年までに省エネ基準をZEH水準まで引き上げる前段階として、ZEH水準を「誘導基準」としており、誘導基準を満たした住宅を「ZEH水準省エネ住宅」とよびます。

ZEH水準省エネ住宅では、外皮性能と一次エネルギー消費量削減率でZEH水準を満たす必要がありますが、再生可能エネルギーの基準は設定されていません。

BELS評価でZEH認証を受けていない住宅でも、断熱性能等級5と一次エネルギー消費等級6をクリアしていれば、ZEH水準省エネ住宅と評価されます。

ZEH水準省エネ住宅とZEH住宅の違い

ZEH水準省エネ住宅とZEH住宅の大きな違いは、創エネ設備の有無です。

ZEH水準省エネ住宅は創エネ設備がなくても名乗れますが、ZEH認証を受けるには原則的に創エネ設備による創エネが必須です。

そのためZEH住宅ではなく、ZEH水準「相当」の住宅として扱われます。

またBELSでZEH認証を受けた住宅は省エネ性能ラベルに「ネット・ゼロ・エネルギー」が記載され、ZEHマークの表示を許可されますが、認証を受けていないZEH水準省エネ住宅は表示できません。

引用:国土交通省「建築物の省エネ性能ラベル」

引用:「ZEHマーク」

ZEH水準省エネ住宅と省エネ基準適合住宅の違い

ZEH水準省エネ住宅と省エネ基準適合住宅の違いは、基準となる省エネ性能レベルです。

ZEH水準省エネ住宅は省エネ基準よりも、高い省エネ性能が求められます。

断熱性能等級一次エネルギー消費量等級
ZEH水準省エネ住宅等級5級以上(6地域 UA≦0.60)等級6級以上(BEI≦0.80)
省エネ基準適合住宅等級4級以上(6地域 UA≦0.87)等級4以上(BEI≦1.00)

ZEH水準省エネ住宅と長期優良住宅の違い

ZEH水準省エネ住宅が省エネ性能のみ評価しているのに対し、長期優良住宅はひとつの住宅に長く安心して住み続けるために必要な性能を網羅しています。

評価項目省エネ性能の認定基準
ZEH水準省エネ住宅・外皮性能・一次エネルギー消費量・断熱性能等級5以上・一次エネルギー消費量等級6以上
長期優良住宅・省エネルギー性・劣化対策・耐震性・維持管理、更新の容易性・居住環境・住戸面積・維持保全計画・災害配慮・断熱性能等級5以上・一次エネルギー消費量等級6以上

長期優良住宅も省エネ性能はZEH水準を目安にしているため、長期優良住宅でも高い省エネ性能を確保可能です。

事業者がZEH水準省エネ住宅を標準化すべき4つのメリット

ZEH水準省エネ住宅を建てるメリットを、4つ解説します。

① 2028年以降の「住宅ローン減税対象外化」による販売失速を防ぐ

国土交通省の税制改正方針により、新築住宅における「省エネ基準適合住宅」の住宅ローン減税は2027年末で事実上終了し、2028年以降の入居分からは借入限度額が「0円(支援対象外)」になります。2028年以降、購入者にローン控除の恩恵を提供できる最低ラインは「ZEH水準省エネ住宅(限度額3,500万円〜)」です。今からZEH水準の設計・施工体制を確立しておくことは、数年後の販売競争力を維持するための必須リスクマネジメントです。

② 「みらいエコ住宅」等の大型補助金が活用可能

国が推進する「住宅省エネキャンペーン(みらいエコ住宅事業など)」において、ZEH水準省エネ住宅は主要な補助対象となっています。補助金を活用して施主の実質負担を軽減することで、競合他社との相見積もり時における強力な受注フック(クロージングの後押し)となります。

③ 創エネ(太陽光)なしでも「省エネ性能ラベル」で差別化できる

2024年4月から努力義務化された「建築物の省エネ性能表示制度」により、ポータルサイトやチラシへの省エネ性能ラベル掲載が進んでいます。ZEH水準をクリアしていれば、多額のコストがかかる太陽光発電を載せていなくても、ラベル上に「★3つ」「ZEH水準達成」のチェックを表示でき、エンドユーザーへの強い訴求力(物件の付加価値)になります。

④ 施主満足度の向上と光熱費高騰リスクへの対策

高断熱・高効率設備による快適性と年間光熱費の大幅な削減効果は、施主の入居後満足度を高め、クレームの低減や紹介受注の増加につながります。

ZEH水準省エネ住宅を取得するデメリット

ZEH水準省エネ住宅を建てるには、高性能な設備や材料が必要になるため、一般的な住宅と比較して初期コストが高くなる傾向です。

一方太陽光発電や蓄電池等の導入が必須ではないため、ZEH住宅よりは予算面のハードルが低いといえます。

初期費用を抑えるためにも、補助金制度を積極的に活用しましょう。

ZEH水準省エネ住宅でよくある質問2選

ここではZEH水準省エネ住宅でよくある質問を、2つ解説します。

ZEH水準省エネ住宅の証明に使える証明書はどこでもらえる?

ZEH水準省エネ住宅だと証明したい場合、次の書類が証明書として利用可能です。

書類名発行機関
設計住宅性能評価書または建設住宅性能評価書登録住宅性能評価機関
BELS評価書BELS登録機関
低炭素建築物新築等計画認定通知書または低炭素建築物新築等計画に係る技術的審査適合証所管行政庁または登録住宅性能評価機関
性能向上計画認定通知書または性能向上計画に係る技術的審査適合証所管行政庁または登録住宅性能評価機関

断熱性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上が証明できる書類が、ZEH水準省エネ住宅の証明書になります。

ZEH水準省エネ住宅の証明書はあとから取得できる?

ZEH水準省エネ住宅の証明書は、書類によってあとから取得が可能です。

例えばBELS評価書は既存住宅でも評価可能ですが、設計住宅性能評価書など新築時のみ発行可能な書類はあとから取得できません。

まとめ:2030年義務化を見据えたZEH水準標準化と、外注リソースの賢い活用法

2030年に予定されている「ZEH水準義務化」や、2028年の「住宅ローン減税激変」を見据えると、ZEH水準へのシフトはもはや選択肢ではなく、事業継続のための必須戦略です。 しかし、1棟ごとに外皮計算や一次エネルギー消費量計算を行い、根拠図書を揃えて証明書(住宅省エネ証明書やBELS等)を発行する業務は、設計現場のキャパシティを激しく圧迫します。また、「過剰な建材スペックで原価が高騰してしまう」という悩みも尽きません。

こうした課題を解決するためには、「外皮計算・一次エネ計算から証明書発行、VE提案までを一貫して請け負う専門の代行会社」をパートナーに持つことが最も有効です。 外注リソースを上手に組み込みながら、社内の工数と建材原価を最小限に抑え、確実なZEH水準化と商品力アップを実現してください。

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