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ZEH-Mとは?メリット・デメリットや2025年度の補助金制度を解説

室内環境の質を維持しつつ、エネルギー消費量の大幅な削減を目的とした「ZEH住宅」。

そのなかでも「ZEH-M」は、マンションなどの集合住宅を対象にした制度です。

この記事では、ZEH-Mの概要やメリット・デメリット、最新の補助金制度を解説します。

ZEH-M(ゼッチマンション)とは

ZEH-M(ゼッチマンション)とは、建築物で使用するエネルギーを削減し、使用するエネルギーを太陽光発電などで生成することで、年間一次エネルギー消費量の実質ゼロ以下を目指す制度です。

ZEH(ゼッチ)が戸建て住宅が対象なのに対し、ZEH-Mはマンションなど共同住宅や集合住宅が対象です。

引用:一般社団法人環境共創イニシアチブ ZEH Web「ZEHとは

近年、世界的に脱炭素社会が推進されており、日本でもカーボンニュートラル実現のひとつの手段として、2030年までに新築住宅においてZEH水準を目指しています。

4タイプ別!ZEH-Mの認定基準

ZEH-Mの認定基準のひとつとして、強化外皮基準を満たす必要があります。

強化外皮性能は、地域によって基準が設定されているのが特徴です。

地域1・2地域3地域4~78
UA値:W/㎡・K0.40.50.6

引用:一般社団法人住宅・建築SDGs推進センター「住宅の省エネルギー性能

もうひとつの条件である一次エネルギー消費量削減率は、建築物の階数や省エネ性能に合わせて4つのタイプに分類されています。

それぞれの特徴と認定基準を、詳しく解説します。

ZEH-M

ZEH-Mの認定基準は、下記のとおりです。

項目認定基準
一次エネルギー消費量削減率(再エネを除く)20%以上
一次エネルギー消費量削減率(再エネを含む)100%以上

再生可能エネルギーを含めた一次エネルギー消費量削減率が100%以上と条件が厳しく、1〜3階建ての低層マンション向けのランクです。

Nearly ZEH-M

Nearly ZEH-Mの認定基準は、下記のとおりです。

項目認定基準
一次エネルギー消費量削減率(再エネを除く)20%以上
一次エネルギー消費量削減率(再エネを含む)75%以上

ZEH-Mの前段階であり、再生可能エネルギーを含めた一次エネルギー消費量削減率が緩和されているのが特徴です。

ZEH-Mと同様に、1〜3階建ての低層マンション向けのランクです。

ZEH-M Ready

ZEH-M Readyの認定基準は、下記のとおりです。

項目認定基準
一次エネルギー消費量削減率(再エネを除く)20%以上
一次エネルギー消費量削減率(再エネを含む)50%以上

Nearly ZEH-Mよりもさらに、一次エネルギー消費量削減率が緩和されています。

基本的にZEH-M Readyは、ZEH水準を取り入れるのが難しい4〜5階建ての中層マンションに向けて設定されています。

ZEH-M Oriented

ZEH-M Orientedの認定基準は、下記のとおりです。

項目認定基準
一次エネルギー消費量削減率(再エネを除く)20%以上

他のランクと違い、再生可能エネルギーの規定がありません。

6階層以上の高層マンションで目指すべき水準として、設定されています。

賃貸住宅でZEH-Mを取得する5つのメリット

賃貸住宅がZEH-Mを取得する主なメリットを5つ解説します。

電気代などを削減できる

省エネ性能が高い建築物は必然的に電気代の削減効果が期待できます。

国土交通省が小売事業者表示制度の単価設定方法を参考に、直近の統計データを用いて試算した、省エネ住宅で節約できる年間の光熱費は下記のとおりです。

引用:国土交通省「省エネ住宅で節約できる年間の光熱費

近年、光熱費の上昇が家計に負担をかけている中で、光熱費の削減は入居者にも管理者にもメリットが大きいでしょう。

一年中快適な室内環境が期待できる

外皮性能の高い建築物は外気温が室内に侵入しにくいため、一年中快適な室内環境を実現しやすいのが魅力です。

室内の熱が室外に逃げるのも防ぐため、冷暖房で快適な温度に変えた空気を長く維持できるでしょう。

また、家全体を温めるので、エリアごとの温度差が小さく、急激な温度変化によって生じるヒートショックの予防効果も期待できます。

停電時も日常に近い暮らしを継続できる

再生可能エネルギー設備にプラスして、蓄電池とパワーコンディショナーを設置している場合、台風や地震等で電力供給が途絶えた場合でも、蓄電池に貯めた電力で一定期間生活を維持できる可能性が高まります。

引用:経済産業省資源エネルギー庁「台風と電力~長期停電から考える電力のレジリエンス

2019年9月に上陸した台風15号による停電では、復旧までに約12日間程度かかった地域もあり、災害時だけでなく災害後のライフラインを確保するためにも、長期的な停電への備えは大切だといえるでしょう。

賃料を高めに設定しやすい

快適性や省エネ性などの付加価値があるZEH-Mは、一般的な賃貸住宅と比較して賃料を高く設定しやすく、下落リスクも少ないのがメリットです。

質の良い住宅として長期的に住み続ける人も多く、空室リスクを軽減できる点も魅力といえます。

余剰電力を売電して収益に反映できる

太陽光発電システムを利用している場合、建築物で消費しなかった電力は売電して収益に充てられます。

空室でも収入が見込めるため、経営の安定材料のひとつとして活躍するでしょう。

賃貸住宅でZEH-Mを取得するデメリット

賃貸住宅でZEH-Mを取得する際に注意するべきなのは、一般的な賃貸住宅よりも初期コストがかかる点です。

断熱性能や省エネ性能を向上させるには高性能な設備が必要なので、ある程度のコスト増は避けられません。

ただし、メリットで紹介したように、賃料アップや余剰電力の売電など、一般的な賃貸住宅よりも高い収益が見込めます。

また、国や地方自治体が設定した補助金制度を利用すれば、初期コストを軽減できるでしょう。

【2025年度】ZEH-Mの導入で利用できる補助金制度

ZEH-Mの初期コストを抑えるために、国が用意している補助金制度を2つ紹介します。

集合住宅の省CO2化促進事業

集合住宅の省CO2化促進事業は、ZEH-Mシリーズの支援に特化した補助金制度です。

一般公募と新規取組み公募の2種類があり、採択件数や締め切り日が異なります。

また、事業は住宅用途部分が1〜3階の低層ZEH-M、4〜5階の中層ZEH-M、6〜20階の高層で分かれており、スケジュールや申請の流れ・対象ランク・補助金額などが違います。

例えば、低層ZEH-Mの申請から交付までのスケジュールは、下記のとおりです。

引用:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和7年度低層ZEH-M促進事業公募要領

また層ごとの対象ランクと補助金額は、下記のとおりです。

対象ランク補助金額(1戸あたり)
低層ZEH-MNearly ZEH-M以上40万円
中層ZEH-MZEH-M Ready以上40万円(ハイグレード仕様は50万円)
高層ZEH-MZEH-M Oriented以上

ハイグレード仕様とは、ZEH-Mにプラスして次の条件をすべて満たす建築物です。

①全住戸の外皮性能が断熱等性能等級6相当以上

②再生可能エネルギー等を除く一次エネルギー消費量削減率が30%以上

他にも蓄電システムやEV充電設備、地中熱ヒートポンプなど省エネや再エネ性能の高い設備を導入する際の補助金が用意されています。

子育てグリーン住宅支援事業

子育てグリーン住宅支援事業は、ZEH水準や長期優良住宅、GX志向型の住宅性能を有する賃貸物件を新築する際に補助金を交付する制度です。

ZEH水準住宅として認定を受けるための条件は下記の8点です。

①住宅性能の証明書(BELS評価や設計住宅性能評価書など)の提出

②賃貸目的で新築している

③住戸の床面積が50㎡以上240㎡以下

④住宅の立地が土砂災害特別警戒区域や災害危険区域など除外要件に該当しない

⑤未完成または完成から1年以内であり、未居住のもの

⑥交付申請時、一定以上の出来高の工事完了が確認できる

⑦子育て世帯・若者夫婦世帯を対象に3カ月以上合理的な優待家賃で入居募集をおこなう

⑧子育て世帯等に配慮されたつくりである

すべての条件を満たすと、下記の補助金額が交付されます。

一戸あたりの補助額40万円/戸
古家除却を伴う場合の補助額の加算額20万円/戸

申請期間などのスケジュールは、下記のとおりです。

対象期間概要
契約期間問わない
対象工事の着手期間2024年11月22日以降に対象工事に着手したもの
交付申請期間申請開始~予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)
完了報告期間階数が10以下・・・2027年4月30日まで階数が11以上・・・2028年2月29日

予算上限に達した時点で終了するキャンペーンのため、確実に利用したい場合は早めの申請をおすすめします。

ZEH-Mでよくある質問2選

ここでは、ZEH-Mの申請でよくある質問を2つ解説します。

ZEH-Mの補助事業はいつから着工していい?

「集合住宅の省CO2化促進事業」を利用する場合、補助事業対象の部分の着工は交付決定通知を受けた後から着工可能です。

補助対象外の部分の工事は、先に着工しても問題ありません。

補助金制度の併用はできる?

「集合住宅の省CO2化促進事業」や「住宅グリーン住宅支援事業」など、国庫から予算が割り当てられている補助事業の併用はできません。

地方自治体が資金を用意する補助金制度は併用できる場合があるので、建築予定エリアの自治体に確認しましょう。

まとめ

ZEH-Mは電気代が節約できるうえ、一年中快適な室内環境を維持しやすいので、入居者にとってメリットが高い集合住宅です。

建築主にとっても賃料アップや売電収益が望めるため、魅力的な住宅だといえます。

ただしZEH-Mの導入や補助金制度の利用には、省エネ計算や必要図書の用意などの手間がかかります。

設計業務等に集中するためにも、申請業務は信頼できる代行業者への外注がおすすめです。

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