コラム
TOPコラム住宅性能評価【2026年版】住宅性能評価と住宅ローン控除・金利優遇の関係は?実務の注意点も解説

【2026年版】住宅性能評価と住宅ローン控除・金利優遇の関係は?実務の注意点も解説

建築資材や労務費の高騰が続く中、デベロッパーや発注者(事業主)、あるいはエンドユーザーから「性能向上によるコストアップ分を、税制やローン優遇でどこまで吸収できるのか」といったシビアな事業収支・資金計画への問いが増えています。設計者やゼネコン、デベロッパーにとって、住宅性能がもたらす経済的メリットを正確に提示し、プロジェクトの付加価値(バリューアップ)や販売促進へとつなげる知識は、いまや不可欠なスキルです。

本記事では、2026年最新の住宅性能と住宅ローン控除、および金利優遇の関係について整理しつつ、最新情報と注意点を詳しく解説します。

【2026年最新】住宅性能と住宅ローン控除の関係

住宅ローン控除制度の基本的な構造と、性能によって異なる借入限度額の違い、最新状況をまとめます。

住宅ローン控除の仕組み

住宅ローン控除とは、毎年末のローン残高の0.7%を、最長13年間(中古住宅の場合は10年間)にわたり、所得税や住民税から直接差し引かれる制度です。施主には、「その年の12月31日時点の住宅ローン残高に0.7%(0.007)をかけた金額が、原則として毎年戻ってくる」と伝えると、分かりやすいでしょう。

(例)ローン残高が3,000 万円の場合→ 30,000,000円 × 0.7% =210,000円→ 最大で年間21万円の控除 

「戻ってくる」といっても控除であり、後述する金利優遇のように、施主が毎月支払う金額が目に見えて減るわけではありません。そのため、やや恩恵を実感しにくい制度ではあります。

ただ、年間で数十万円、トータルで数百万円という無視できない経済的メリットが得られます。正しく伝えて、理解を得るようにしましょう。

省エネ基準を満たさない住宅は住宅ローン控除対象外

2026年現在の住宅ローン控除のポイントは、住宅の省エネ性能にあります。下図のように、現代では省エネ基準を満たさない新築住宅は、原則として住宅ローン控除の対象外(控除額0円)です。

住宅:住宅ローン減税|国土交通省 より、編集部作成

2025年4月の建築物省エネ法改正により、省エネ基準への適合はすでに「義務」となりました。したがって、省エネ基準を満たさない住宅が新築できないのは実務者にとって周知の事実です。ここで事業主が注意すべきは、「最低基準(省エネ基準適合)にとどまることが、エンドユーザーの控除額減少に直結し、分譲時・販売時の強烈なディスアドバンテージになり得る」という点です。

なお、不動産会社等が買い取ってリフォームした「買取再販の中古住宅」は、省エネ基準に適合していなくても2,000万円(期間10年)という最小の借入限度額の枠が用意されています。

住宅ローン借入限度額・控除期間は住宅の性能に応じて変わる

新築住宅の住宅ローン控除借入限度額は、性能に応じて3段階に分けられています。

★ いずれも控除率0.7%、控除期間13年

住宅区分一般借入限度額子育て・若者夫婦世帯
長期優良住宅・低炭素住宅4,500万円5,000万円
ZEH水準省エネ住宅3,500万円4,500万円
省エネ基準適合住宅2,000万円3,000万円

建物の性能ランクが高いほど、借入限度額が引き上げられます。借り入れ額が高額な施主ほど、性能向上の恩恵を無駄なく受け取れます。

長期プロジェクトにおける「リードタイム」に要注意

デベロッパーやゼネコンにとって重要なのは、プロジェクトのリードタイムです。マンションや大規模分譲地の開発では、用地取得・企画設計から竣工・入居までに数年を要します。今、設計している物件が入居を迎える2028年以降には、「省エネ基準適合住宅」がローン控除の原則対象外となる可能性が高まっています。将来の販売リスクを回避し、資産価値を維持するためにも、企画段階から最低でもZEH水準以上を「標準仕様」として設定することが、これからの事業戦略において不可欠です。

(※ 2027年末までに建築確認を受けられれば、2,000万円×10年)

将来の資産価値や制度改定を見据え、今後は最低でもZEH水準以上を目指す重要性を、施主に丁寧に伝えていきましょう。 

証明には「建設住宅性能評価書」等が必要

住宅ローン控除を受けるには、入居の翌年に施主自身で確定申告を行う必要があります。

その際、所定の性能であることを証明する書類として「建設住宅性能評価書(写し)」や「住宅省エネルギー性能証明書」の提出が必須です。証明書が手元になければ優遇は一切受けられないため、建築会社側の確実な手配が求められます。

住宅性能と住宅ローン借入における金利優遇の関係

住宅性能評価を取得すると、税金の還付以外に「金利」の面でも有利に働きます。金利優遇は毎月の返済額に直結するため、施主にもぜひ伝えたいポイントです。

住宅ローン借り入れの金利優遇とは

住宅ローン借り入れの金利優遇とは、金融機関が定める基準金利から借入にかかる金利を割り引く制度です。一定の条件を満たすことで得られるメリットで、条件は金融機関によって異なります。

前項の控除とは異なり、施主の手元から出る毎月の返済額を目に見えて減らせます。「分かりやすいメリット」として施主の関心を引き寄せられるでしょう。

「フラット35」の金利優遇

【フラット35】S|フラット35

「フラット35」は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携し提供する、全期間固定金利型の住宅ローンです。「フラット35S」は高性能な住宅を対象とした商品で、借入金利の優遇が受けられます。

省エネ性や耐震性の基準によって、「フラット35(ZEH)」「フラット35S(金利Aプラン)」「フラット35S(金利Bプラン)」などのプランが存在します。

なお、フラット35Sは住宅性能評価書の取得でも利用できますが、コストを抑えたいときは「適合証明書」の取得で代用できます。適合証明書は検査機関によるチェックで取得でき、費用は5万~10万円程度です。

フラット35に関する情報は、こちらの記事も合わせて読むと理解が深まります。

民間銀行の金利優遇

環境配慮型住宅への特別金利優遇|NEOBANK 住信SBIネット銀行

メガバンクやネット銀行などの民間金融機関でも、「環境配慮型住宅ローン」「SDGsローン」といった名称で、高性能住宅を対象に金利優遇を行うケースが増加しています。

多くは、金融機関のESG投資(環境や社会に配慮した投資)の一環として行われているようです。住宅性能評価書やBELS評価書の提出を条件に、店頭の最優遇金利からさらに一定の金利が引き下げられます。

民間ローンを検討する施主には、性能証明の取得によって、総返済額を抑えられる可能性があると提案してみてください。

ローン本審査に間に合うスケジュール管理が必須

住宅ローンの金利優遇を利用する場合、ローンの本審査や融資実行のタイミングまでに設計住宅性能評価書や適合証明書を提出しなければなりません。

審査には日数を要します。着工直前に慌てて手配しても間に合わなくなり、結果的に優遇を受けられないといった展開も考えられます。

経済的な優遇を利用する場合は、融資のスケジュールから逆算し、いつまでに評価書や証明書を用意すればよいか、入念にスケジュールを管理しましょう。

性能向上のコストアップと、控除・優遇によるコストダウンの考え方

性能評価の取得、あるいは住宅の性能アップには費用がかかります。コストアップに対する施主の理解を得るポイントを2つ、解説します。 

性能向上によるイニシャルコスト増とバリューアップ(VE)の可視化

発注者や事業主に対して、「性能を上げるとコストが上がる」というネガティブな提示に留めるのは、プロフェッショナルとして不十分です。断熱材やサッシのグレードアップにかかる工事費用、構造計算や性能評価の申請・審査費用を「初期投資の増額分」として明確に算出した上で、それを上回るメリット(税制優遇・金利優遇によるエンドユーザーの実質負担減、販売価格のプレミアム化、成約率の向上)を、「トータル事業収支の改善」として提案する姿勢が求められます。

費用がわからなければ、施主も正確に比較検証できません。

断熱材やサッシのグレードアップにかかる工事費用、住宅性能評価の申請・審査費用(構造計算費等を含む)を、初期投資の増額分として包み隠さず正確に伝えてください。このとき、「なぜこの金額が必要なのか」を、平易な言葉で丁寧に説明するよう、心がけましょう。

「トータルコスト」を見た時のメリットを解説する

初期費用を伝えた上で、回収のシミュレーションも提示します。

・初期費用は〇〇万円上がる

・住宅ローン控除で最大〇〇万円戻ってくる

・住宅ローン商品の金利優遇で総返済額が〇〇万円お得になる

・さらに、毎月の光熱費も節約

・だから、トータルコストは安くなる

以上のように、具体的な金額も入れながら見通しを示してください。高性能住宅に対するコスト面の不安を払拭し、施主の背中を押す提案が実現します。

住宅性能評価と住宅ローンに関するQ&A

住宅性能評価と住宅ローンに関して、実務面で悩みやすいポイントを3つピックアップし、Q&A形式で解説します。 

Q1.設計住宅性能評価書だけでローン控除は受けられますか?

  1. 受けられません。

確定申告の際、住宅ローン控除の証明書として使えるのは、現場検査をクリアして交付される建設住宅性能評価書の写しです。「設計評価は取得したが、現場検査の申請を忘れていた」といった場合は住宅ローン控除に利用できず、控除も受けられません。

Q2.ローン控除用の証明書は、竣工後(事後)でも取得できますか?

  1. 原則として、取得できません。

建設住宅性能評価は、各施工段階(基礎配筋時、躯体完了時など)における第三者機関の現場検査が法的に必須です。また、住宅省エネルギー性能証明書についても、施工中の適切な写真記録(断熱材の施工状況等)や品質管理証明が不可欠です。ゼネコン・現場担当者に対しては、「着工前の評価申請と、要求される写真管理項目の確実な共有」を徹底しないと、竣工後に証明書が発行できず、事業主や買主に多大な損害を与えるリスクがあります。

Q3.建設住宅性能評価書と住宅省エネルギー性能証明書の違いは何ですか?

  1. 用途と評価範囲が異なります。

住宅省エネルギー性能証明書は、ローン控除や贈与税非課税枠などに特化した税制優遇用の証明書です。

一方、建設住宅性能評価書は、第三者機関が省エネ性に加え、耐震性や劣化対策なども含めて総合的に評価した書類です。ちなみに、地震保険の割引なども利用したい場合は、建設住宅性能評価書の取得が必要です。

まとめ

2026年現在、住宅ローン控除の借入限度額は、建物の性能によって幅があります。省エネ性能が高い住宅ほど借入限度額が大きく設定され、一方で省エネ基準を満たさない住宅は控除が一切受けられません。フラット35や民間銀行の金利優遇でも、性能証明の有無によって受けられる金利優遇が変わります。

「ローン控除は納めた税金が戻る仕組み」「金利優遇は手元から出る支払いが減る仕組み」という違いを施主に丁寧に説明し、住宅性能評価の取得によるコストアップをトータルコストの削減で相殺できるシミュレーションを提示しましょう。また、本審査に間に合うよう計画的に申請を進めることも、忘れないようにしてください。

省エネ計算なら、しろくま省エネセンターにお任せください!

しろくま省エネセンターでは、業界初の「省エネ計算返金保証」を行っております。

個人住宅、小規模事務所から大型工場などまで、幅広く対応しています。まずはお気軽にご相談ください!

まずはお気軽に お問い合わせください

パッと簡単!
無料見積り依頼

お急ぎの方・詳細をお聞きになりたい方は
お電話でも受付けております

044-230-0050 電話受付時間 平日9:00~18:00

TOP