【2026年最新版】住宅性能評価書はあとから取得できる?もらっていない場合の対処法をわかりやすく解説
住宅の設計段階から性能を評価し、住宅の専門的知識が少ない消費者でも品質の良い住宅が購入できる市場形成に貢献する「住宅性能評価書」。
住宅性能評価書が手元にない場面では、売買時の説明責任、修繕計画の妥当性確認、アセット価値の裏付けに悩むケースが少なくありません。
特に中古流通や改修判断では、新築時の評価書がないときに、何をもって性能を客観化するかが実務上の論点になります。
そこでこの記事では、住宅性能評価書をあとから取得する方法と、取得にかかる費用などを解説します。
住宅性能評価書の代わりになる証明書も記載するので、住宅性能評価書の取得を検討している場合の参考にしてください。
住宅性能評価書とは
住宅性能評価書とは、1999年に成立した「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく住宅性能表示制度のもとで、住宅の性能を第三者が評価・表示する書類です。
新築を対象としたものには、設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書があり、既存住宅は既存住宅性能評価書が利用できます。
住宅性能評価の目的
30年以上前、欠陥住宅が社会的問題になった時代があり、消費者が安心して住宅を購入できる市場を形成するのを目的として1999年に品確法が施行されました。
この品確法で定められた制度のひとつが、住宅性能表示制度です。
住宅性能評価では、住宅の購入者が希望する住宅性能レベルにかなう設計がされているか、施工が行われているか評価し、それをまとめた結果が住宅性能評価書です。
住宅性能評価書の評価項目
新築住宅の住宅性能評価は、10分野33項目の性能表示事項で構成されています。
このうち、必須項目の整理は国土交通省資料の版によって表記差が見られるため、公開時点で参照する最新の公式ガイドに合わせて表記を統一すると安心です。その他は選択項目です。

「維持管理・更新への配慮に関すること」の「維持管理対策等級」と「更新対策」は、共同住宅のみ対象です。
必須項目以外の選択項目を受けるかは自由ですが、評価を受ける項目の数が多いほど費用がかかるため、費用対効果を考慮して選択しましょう。
設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書の違い
前述した通り、新築の住宅性能評価書は「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の2種類で構成されています。
2つの違いは、評価を行う段階です。
それぞれの特徴について、詳しく解説します。
設計住宅性能評価書とは

引用:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度 かんたんガイド」
設計住宅性能評価書は、設計図書の段階で評価したものです。
着工前に設計図書が設計住宅性能表示基準を満たしているか、書面のみで評価します。
設計住宅性能評価書は設計図書のみの保証で、実際に竣工した住宅の質を保証するものではありません。
建設住宅性能評価書とは

引用:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度 かんたんガイド」
建設住宅性能評価書は、竣工した住宅が設計図書通りに工事が行われたか評価したものです。
住宅が完成後に、評価機関が直接現場で実物を審査します。
建設住宅性能評価は、設計住宅性能評価書に示された性能どおりに施工されたかを現場で確認する仕組みです。そのため、新築住宅では通常、設計住宅性能評価を前提に建設住宅性能評価が進みます。
また、建設住宅性能評価書が交付された住宅では、指定住宅紛争処理機関の利用対象になるなど、取得による制度上のメリットがあります。
実務上も、設計段階と施工段階の両方で第三者評価を受けておく方が、説明責任や売買時の資料整備の面で有利です。
住宅性能評価を申請する流れ
住宅性能評価の申請先は、国土交通大臣の登録を受けた登録住宅性能評価機関です。
対象機関は、住宅性能評価・表示協会の公式サイトで検索できます。
新築時に申請する流れは、次の通りです。

引用:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度 かんたんガイド」
設計住宅性能評価は建築確認と並行して進めることが多く、同一の審査機関に申請すると、図書の重複提出を抑えやすく、審査対応を効率化しやすいのが実務上のメリットです。
設計住宅性能評価と建築確認をひとつの審査機関に同時申請すると、共通して使用する図書を流用したり、手間や費用を削減したりできるなどのメリットがあります。
また建設住宅性能評価も確認検査と同じ審査機関に依頼すると、同時並行で実施できます。
住宅性能評価書はあとから取得できる?
竣工時に住宅性能評価を受けなかったり、建売や中古住宅を購入したりして、住宅性能評価書をあとから取得したいと考えるケースも少なくありません。
設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書は、住宅の設計時や建設時に審査を行うため、あとから取得はできません。
あとから取得したい場合は、既存住宅を対象にした「既存住宅性能評価書」が選択肢になります。
既存住宅性能評価書とは
住まいの現況と性能の評価結果をまとめた結果が、既存住宅性能評価書です。
住宅性能表示制度が始まった際には新築住宅のみ対象でしたが、新築・既存問わずすべての住宅の品質確保を目的に、制度発足の2年後にスタートしました。

引用:国土交通省「既存住宅の住宅性能表示制度」
対象の住宅は、竣工から1年以上経過、もしくは人が住んだことのある住宅です。
新築時と同じく登録住宅性能評価機関が客観的に審査するため、信頼性の高い評価を得られます。
既存住宅性能評価書の評価項目
既存住宅性能評価では、既存住宅で技術的に評価可能な事項に絞って、7分野22事項が設定されています。
新築時にしか確認しにくい項目は対象外です。
劣化などによる影響を技術的に評価できる事項に絞り、新築時にしか検査できない項目は省いています。
7分野の概要は、次の通りです。
| 分野 | チェックポイント |
| 構造の安定 | 地震発生時の倒壊・損傷のしにくさなど |
| 火災時の安全 | 住宅内で火事が発生した場合、安全に避難できるための措置など |
| 維持管理への配慮 | 配管の掃除や補修のしやすさなど |
| 空気環境 | 空気中の化学物質の濃度や適切な換気設備など |
| 光・視環境 | 採光を取得するための窓の面積など |
| 高齢者等への配慮 | 高齢者や障がい者が暮らしやすくするためバリアフリー仕様など |
| 防犯 | 防犯性の高いドア・サッシを用いているかなど |
審査は、評価員が目視を中心に確認できる範囲で行われ、項目によっては寸法計測や打診、計測機器による確認が行われます。
ただし、既存住宅性能評価は検査時点の状態を示す制度であり、建物全体の瑕疵の有無を網羅的に保証するものではありません。
既存住宅性能評価書を申請する流れ
既存住宅性能評価書を申請する流れは、次の通りです。

引用:国土交通省「既存住宅の住宅性能表示制度」
検査により判明した不具合は、一旦評価を中断して補修することも可能です。
評価書をできるだけ良いものにするなら、不具合に対応してから再審査を受けましょう。
再審査を受ける場合の流れは、次の通りです。

引用:国土交通省「既存住宅の住宅性能表示制度」
住宅性能評価書をあとから取得する3つのメリット
ここでは、住宅性能評価書をあとから取得するメリットを3つ解説します。
現在の住まいの性能がわかる
住宅性能評価書をあとから取得する場合、現段階での住まいの性能がわかるのがメリットです。
例えば中古住宅の購入時には、耐震性や省エネ性を客観的に把握しやすくなるため、保険や融資の審査で参考資料として活用できる場合があります。
ただし、割引や優遇の可否は保険会社・金融機関・商品ごとの条件によって異なるため、事前確認が必要です。
また必須事項以外に個別に性能評価を選択できるので、必要な項目のみ評価できるのも利点です。
適切な維持管理や修繕ができる
住宅に安心して住み続けるには、適切な維持管理や修繕が不可欠です。
しかし専門知識がないとどのような修繕が必要か判断できず、リフォーム事業者等の言われるがままになってしまうケースも少なくありません。
そこでリフォームの計画を立てる際に、第三者に住まいの現況を検査してもらえば、本当に必要な修繕だけを選択できるようになります。
中古住宅を購入する際の判断材料になる
既存住宅性能評価を受けることで住宅の性能が明確になり、中古住宅を購入する際の判断材料になります。
住宅の性能に関して知識の少ない消費者でも、等級などでわかりやすく示してくれるので、他の住宅と簡単に比較可能です。
売却時にも、住宅の状態や性能を第三者資料で示しやすくなるため、買主・仲介会社・金融機関との情報共有がしやすくなります。
とくに中古流通では、価格交渉時の説明材料やデューデリジェンス資料として機能しやすい点が実務上のメリットです。
住宅性能評価書を取得するデメリット
既存住宅性能評価は、既存住宅の検査時点での状態を評価する制度で、欠陥の有無を調べるものではありません。
外観からの目視が中心なので、評価できる範囲には限りがあります。
客観的で信頼性の高い評価書ですが、全てを保証してくれるものではないと理解しておくのが大切です。
また既存住宅性能評価を行った際の評価であり、住宅は時間の経過と共に劣化していきます。
評価結果はあくまで検査時点の状態を示すものであり、その後の劣化や改修内容までは反映されません。取得後も、維持管理や売買のタイミングに応じて、必要に応じた再確認を検討すると安心です。
住宅性能評価書をあとから取得するのによくある質問2選
ここでは住宅性能評価書をあとから取得する際に、よくある質問を2つ解説します。
住宅性能評価書をあとから取得すると費用はいくら?
前述した通り、あとから取得できる住宅性能評価書は既存住宅性能評価書です。
既存住宅性能評価の手数料は、評価機関・住宅の規模・設計図書の有無・選択する評価項目によって変わります。
一戸建住宅の現況検査だけでも10万円台前半になることが多く、個別性能評価や再検査を追加すると費用は上がります。
※料金は改定されるため、公開時点の最新料金表を必ず確認してください。
| 評価機関 | 手数料(設計図書あり) | 手数料(設計図書なし) |
| 日本住宅性能評価機関 | 100,000円~ | 150,000円~ |
| 日本ERI株式会社 | 115,500円~ | 148,500円~ |
| 日本建設センター | 308,000円~ | |
上記の値段は基本料金であり、評価したい項目の数に比例して費用もプラスされます。
費用を抑えたい場合は、必要な評価項目を絞ることと、設計図書・確認済証・検査済証・過去の性能評価書など既存資料を事前に整理しておくことが有効です。
住宅性能評価書の代わりになる書類は?
住宅性能評価書と同一の内容をそのまま代替できる書類はありません。
省エネ性能に限れば、BELSなどの第三者認証を活用できる場合があります。
ただし既存住宅では、建築時の図書や性能データの有無によって、取得できる表示の範囲や評価方法が変わるため、事前に評価機関へ確認するのが確実です。
近年は、既存住宅向けに改修部位を表示する省エネ部位ラベルも整備されています。
また、長期優良住宅は住宅性能評価書の代替書類ではなく、別制度の認定です。
ただし、劣化対策や耐震性、省エネ性など、重なる評価観点があるため、住宅の品質を示す参考資料として比較されることがあります。
まとめ
住宅性能評価書は、新築時に取得していなければ同じ形であとから取得することはできませんが、既存住宅であれば既存住宅性能評価書によって、現在の性能や劣化状況を第三者の視点で確認できます。修繕計画の検討材料として活用できるほか、中古住宅の売買時には、住宅の状態や性能を客観的に示す資料として役立ちます。
住宅性能評価書が手元にない場合は、まず新築時の性能評価書の有無を確認し、次に確認済証・検査済証などの法定書類、さらに長期優良住宅認定通知書やBELS評価書などの関連書類を整理しましょう。そのうえで、不足する情報を既存住宅性能評価でどこまで補えるかを見極めることが重要です。こうした順序で資料を確認すると、売買・改修・保有の各場面で必要な説明資料を整理しやすくなります。
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