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【2026年最新版】省エネルギー基準とは?地域区分の一覧と基準引き上げの内容・実務への影響をわかりやすく解説

近年、建築分野では脱炭素政策の加速により、省エネルギー基準への対応が設計・開発実務において不可欠な要素となっています。2025年4月にはすべての新築建築物で省エネ基準適合が原則義務化され、さらに2026年4月からは中規模非住宅建築物における基準引き上げも予定されており、設計条件や設備計画への影響が現実的な課題となりつつあります。

本記事では、住宅・非住宅それぞれに適用される省エネルギー基準の基本的な考え方から、地域区分の仕組み、そして2026年度以降の基準強化のポイントまでを、実務目線でわかりやすく解説します。

省エネルギー基準とは

省エネルギー基準とは、建築物省エネ法に定められている建築物省エネルギー消費性能基準の略称で、建築物の備えるべき省エネ性能を確保するため最低限クリアすべき数値の指標です。

省エネ基準を満たした建築物を目指すことで、自然環境の保全はもちろん、快適で健康的な室内環境の実現やランニングコストの削減など、建築物を所有する人や企業にも大きなメリットをもたらします。

住宅の省エネ基準と計算方法

住宅の省エネ性能を測る指標は、「外皮性能」と「一次エネルギー消費性能」の2つです。

それぞれの基準と計算方法を、詳しく解説します。

外皮性能の基準と地域区分

外皮性能とは、外壁・屋根・天井・床・開口部など外気に直接触れる外皮の断熱性の高さを数値化したものです。

住宅における外皮性能は、UA値(外皮平均熱貫流率)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)で構成されています。

UA値の計算式は、次の通りです。

UA(W/㎡・K)=単位温度差当たりの外皮総熱損失量÷外皮総面積

数値が低いほど断熱性能が高く、室内の温度が外気温の影響を受けにくくなります。

ηAC値の計算式は、次の通りです。

ηAC値=単位日射強度当たりの総日射熱取得量÷外皮総面積×100

数値が低いほど、夏場の強い日射が室内に入りにくく、遮蔽率が高いと判断できます。

外皮性能の基準値は地域の実情に合わせるため、地域ごとに設定されています。

引用:国土交通省「地域区分の見直し

UA値とηAC値の地域ごとの基準値は、次の通りです。

地域区分12345678
UA値(W/㎡・K)0.460.460.560.750.870.870.87
ηAC値3.02.82.76.7

寒冷地は厳しい冬の寒さを乗り越えられる外皮性能の高さが求められ、夏の日差しが強い地域では遮蔽性能の高さも重要視されます。

一次エネルギー消費性能の基準

一次エネルギー消費性能とは、冷暖房や換気システム、給湯機器、照明設備など建築物で消費するエネルギー量を数値化したものです。

一次エネルギー消費量の算出は、BEIを用いて行います。

引用:国土交通省「一次エネルギー消費性能

BEIが1以下なら省エネ基準を満たしていると判断でき、1よりも小さければ小さいほど一次エネルギー消費量の少ない住宅だと評価されます。

非住宅の省エネ基準と計算方法

非住宅の省エネ基準(適合義務の判定)は、原則として一次エネルギー消費性能(BEI)で行われます。一方で、外皮仕様は空調負荷に直結するため、結果としてBEIにも強く影響します。なお、非住宅には外皮側の指標としてPAL*(ペリメータゾーン年間熱負荷係数)もありますが、これは基本的に誘導基準側で扱われる指標という位置づけです(ただし設計最適化では重要な評価軸になります)。

以前は住宅と同じく、非住宅の省エネ基準もBEI≦1でした。

しかし2024年度より、延床面積2,000㎡以上の大規模非住宅の省エネ基準が引き上げられました。

2026年4月1日から、中規模非住宅(延床面積300㎡以上2,000㎡未満)の省エネ基準が引き上げられます。なお実務上は、施行日前後の案件ではどの基準が適用されるか(経過措置の扱い)が申請タイミング等によって影響する可能性があります。確認申請スケジュールを組む際は、所管行政庁や判定機関の運用も踏まえ、早めに適用基準を確認しておくことが重要です。

非住宅の省エネ基準は、建築物の用途ごとに異なります。

非住宅の一次エネルギー消費量基準(BEI)※2026年4月以降

大規模(2,000㎡以上)中規模(300㎡以上2,000㎡未満)小規模(300㎡未満)
工場など0.750.751.00
事務所・学校・ホテル・百貨店など0.800.80
病院・飲食店・集会所など0.850.85

参照:国土交通省「中規模非住宅建築物の省エネ基準の見直しについて

※小規模(300㎡未満)の扱いは用途・手続き区分により整理が異なるため、ここでは代表値のみを記載しています(空欄は“基準なし”を意味しません)。

2025年度から省エネ基準適合が義務化!建築物省エネ法の改正内容

2022年の建築物省エネ法改正により、2025年4月以降に着工する新築・増改築について、原則として住宅・非住宅ともに省エネ基準への適合が義務付けられました。ただし、規模や用途等により適用除外が定められているため、案件条件に応じて対象可否の確認が必要です。

この改正の背景にあるのは、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル実現」に向け、建築物分野での省エネ対策の加速に向けた抜本的な取組の強化です。

改正以前は床面積2,000㎡以上の非住宅のみ適合義務の対象だったため、大規模な改正といえます。

引用:国土交通省「令和4年度改正建築物省エネ法の概要

また省エネ基準への適合が義務化されたことで、多くの建築物で省エネ適合性判定が必須になりました。

省エネ適合性判定とは

省エネ基準に適合義務のある建築物は、着工前に建築物省エネルギー性能確保計画を所管行政庁か国が認める登録省エネ判定機関に提出し、省エネ基準に適合しているか審査する「省エネ適合性判定(省エネ適判)」を受ける必要があります。

省エネ適判を省略できる建築物

原則的に省エネ基準適合義務のある建築物は全て対象ですが、次のいずれかに該当する場合は判定が比較的容易だと判断され、省エネ適判を省略できます。

・住宅の設計時に仕様基準を用いる場合

※仕様基準への適合を示すチェックシート等により、省エネ基準への適合確認自体は必要です。

・設計住宅性能評価書を取得している場合

(断熱性能等級4以上、一次エネルギー消費量等級4以上の場合のみ)

・長期優良住宅認定通知書を取得している場合

仕様基準とは、設計時に国が定めた設備や部材の仕様を選んでいくことで、自動的に省エネ基準を満たせる方法です。

採用できる設備や間取りに制限がありますが、省エネ適判を省けるので着工までの手間がひとつ省けます。

※省エネ適判を省略できる場合でも、“省エネ基準への適合確認が不要”になるわけではありません。確認申請等で、仕様基準のチェック結果や評価書等により適合を示す手続きは必要です。

省エネ適判を申請する流れ

省エネ適判を申請する流れは、次の通りです。

引用:住宅性能評価・表示協会「省エネ適合性判定とは

前述した通り省エネ適判は着工前までにクリアする必要があり、認証を受けるまでは工事に着手できません。

着工までスムーズに進めるためには、省エネ性能の算出に欠かせない「省エネ計算」を迅速かつ正確に行うのが重要です。

省エネ計算の手間を軽減する3つの方法

省エネ計算は専門性が高いうえ複雑なため、手間や時間がかかったり、ミスをしてやり直しを求められたりするなど、扱いに悩まれる方が少なくありません。

そこでここでは、省エネ計算の手間を軽減する方法を3つ解説します。

仕様基準やモデル建物法を用いて設計する

省エネ計算や省エネ適判を容易にする方法として、住宅では「仕様ルート」、非住宅では「モデル建物法」という評価方法が設けられています。

用途評価方法特徴
住宅標準計算ルート住宅のすべての情報を室ごとに詳細に計算して評価
仕様ルート仕様基準に基づいた計画をチェックリストに従って評価
非住宅標準入力法建築物すべての情報を室ごとに詳細に計算して入力
モデル建物法建築物の用途毎にモデル建物を用いて簡易的に評価
モデル建物法(小規模版)モデル建物法の小規模非住宅に対応した評価方法

仕様ルートもモデル建物法も難しい省エネ計算を軽減できますが、省エネ性能の詳細な数値は算出できません。

正確な性能を知りたい場合は、標準入力法などで全ての情報を詳細に計算する必要があります。

WEBプログラムなど省エネ計算ソフトを利用する

省エネ計算の際は、行政や企業が提供する「省エネ計算ソフト」を利用すると、省エネ計算の負担が低減します。

WEBプログラムは、制度改正・基準改定にあわせて随時更新され、無料で利用できるため広く使われています。

他のソフトを利用する場合も、必ず最新の制度が反映されているものを選びましょう。

省エネ計算代行業者へ外注する

簡易的な評価方法でもWEBプログラムでも、省エネ計算に関する専門的な知識が求められるのでどうしても手間や時間が取られがちです。

そのため効率的に省エネ計算の業務を進めるなら、省エネ計算の専門家である代行業者への外注をおすすめします。

計算ミスや書類の不備も減らせるため、設計から着工までがスムーズになります。

省エネルギー基準でよくある質問2選

ここからは、省エネルギー基準でよくある質問を2つ解説します。

省エネ基準と誘導基準の違いは?

省エネ基準と誘導基準の違いは、求められる性能値と位置づけです。

省エネ基準は建築物が満たすべき最低ラインであるのに対し、誘導基準はZEH・ZEB水準の高い基準で設定されています。

例えば住宅の外皮性能の誘導基準は、次の通りです。

引用:国土交通省「外皮性能基準

政府は2030年までに省エネ基準をZEH・ZEB水準まで引き上げることを検討しており、それを先行する形で誘導基準が設けられました。

2026年4月から中規模非住宅建築物の省エネ基準が引き上げられるって本当?

2026年4月から、中規模非住宅の省エネ基準が引き上げられます。

誘導基準と同じく、今後新築される建築物でZEB水準の省エネ性能を確保するという政府方針を踏まえた見直しです。

今回の引き上げは通過点で、2030年には更に高い水準に引き上げることが検討されています。

引用:国土交通省「中規模非住宅建築物の省エネ基準の見直しについて

2030年にはZEH・ZEB水準の省エネ性能を確保へ

これまで述べてきた通り、政府は2050年までにカーボンニュートラル実現を掲げ、その前段階として2030年までに、新築建築物でZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保を目指しています。

引用:国土交通省「令和4年度改正建築物省エネ法の概要

2025年に省エネ基準への適合が義務化されましたが、義務を果たすだけでなく、ZEH・ZEB水準の高い省エネ性能を持つ建築物が求められています。

今だけでなくこれからを見据え、カーボンニュートラルに対応していける基盤づくりを行っていくのが重要です。

まとめ

2022年に建築物省エネ法が改正され、省エネ基準適合が義務化されたり、中大規模非住宅建築物の省エネ基準が引き上げられたりするなど、年々省エネ性能の規定が厳格化されています。

変化へ柔軟に対応するためにも、難しくて手間のかかる省エネ計算は信頼できる代行業者へお任せしてみてはいかがでしょうか。

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