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TOPコラム住宅性能評価【2026年最新版】低炭素建築物とは?ZEH・ZEB・長期優良住宅との違いと認定基準・メリットを徹底解説

【2026年最新版】低炭素建築物とは?ZEH・ZEB・長期優良住宅との違いと認定基準・メリットを徹底解説

2025年4月1日の法改正全面施行により、原則すべての建築物(新築・増改築)で省エネ基準への適合が求められるようになりました(※施行日以降に着工する計画が対象。適用除外あり)。建築物の省エネ性能向上、そして脱炭素化は必須要件となっています。

低炭素建築物は、ZEH・ZEB水準と同等の省エネ性能を前提に、設計に有用な容積率の緩和措置、住宅ローン控除など、設計者・建築主双方にとってメリットが大きな認定制度です。ただ、ZEH・ZEBや長期優良住宅との違い、メリットを生かす提案・説明に悩む現場も多いようです。

本記事では低炭素建築物の概要から注意点まで、実務者が知っておくべき知識を解説します。複雑化する省エネ基準や制度を正しく理解するために、お役立てください。

【最新】低炭素建築物とは

はじめに、2026年時点での最新の低炭素建築物の定義と認定基準、特徴を解説します。

低炭素建築物の定義

低炭素建築物は「都市の低炭素の促進に関する法律(エコまち法)」が定める、二酸化炭素排出量を抑制した省エネ性能の高い建築物を認定する制度です。住宅・非住宅とも認定が受けられます。認定の対象は、所管行政庁が定める「市街化区域等」内で新築・増改築を行う建築物です。
ここでいう「市街化区域等」は、都市計画法上の市街化区域に加え、自治体ごとの運用で対象区域が定められている場合があります。

そのため、計画地が認定対象区域に該当するかは、基本設計段階で所管行政庁に確認することが重要です。
区域要件を満たさない場合は、性能を満たしていても低炭素建築物認定は取得できないため、事前確認を怠らないようにしましょう。

低炭素建築物の認定基準

エコまち法に基づく低炭素建築物の認定制度の概要|国土交通省

現行制度における低炭素建築物の認定基準は、以下の4項目です。

  1. 省エネ法の省エネ基準比で一次エネルギー消費量20%以上削減
  2. 再生可能エネルギー設備がある
  3. (省エネ効果による削減量+再エネの創エネ量)≧基準一次エネルギー消費量の50%以上
  4. その他の低炭素化に資する措置が講じられている

※ (3)は戸建て住宅のみ

(1)は、住宅では省エネ基準比▲20%(誘導基準)で、ZEH水準と近い考え方です。一方で非住宅は用途により▲30〜40%と設定されており、住宅の感覚で一括りにしないのが実務上のポイントです。

低炭素建築物基準住宅非住宅
外皮性能強化外皮基準PAL*基準値以下
一次エネルギー消費量性能省エネ基準比で20%以上削減用途別に30~40%以上削減

再生可能エネルギー設備は、以下から選択し設置します。

・太陽光発電設備

・太陽熱、地中熱を利用する設備

・風力、水力、バイオマス等を利用する設備

・河川水熱等を利用する設備

・薪、ペレットストーブ等の熱利用

低炭素建築物で選択できる低炭素化措置

先の項目の(4)「その他の低炭素化に資する措置」は、以下から1項目満たしていれば問題ありません。

・節水タイプの機器の設置/雨水、井戸水、雑排水の利用

・HEMSやBEMSの設置/再エネ利用設備の設置と連携した定置型蓄電池

・ヒートアイランド対策/緑化、水の利用、日射反射率の高い舗装や屋根材など

・躯体の低炭素化/劣化軽減措置や木造の選択、高炉セメントの利用など

・EVやPHEVとの充電を利用した電気供給設備

低炭素認定の審査では、告示等でCASBEEが認定基準の一要素として位置付けられているため、CASBEEの評価結果が判断材料になるケースがあります。ただし、適用可否は所管行政庁/審査機関の運用や申請スキームによるため、計画初期に確認しておくと手戻りを防げます。

低炭素建築物とBELSの連動

低炭素建築物の認定審査では、建築物の性能が評価されます。一次エネルギー消費量を★の数で表示できるBELSなど第三者評価のアウトプットがあると、説明資料として整理しやすく、審査機関との照会対応もスムーズになることがあります(※申請要件そのものは案件・自治体で異なるため、必要書類は別途確認)。

また、BELSの客観性・公平性の高い評価書・評価機関による計算結果と、低炭素建築物の認定を連動させ、設計建築物を「低炭素基準を満たした高効率な建物」とアピールすることも可能でしょう。

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低炭素建築物とZEH・ZEBの違い

低炭素建築物の性能基準は、ZEHと同水準です。では、ZEHあるいはZEBとの違いはどこにあるのでしょうか。実務に即し、3つのポイントから解説します。

低炭素建築物は「認定制度」、ZEH・ZEBは「概念」

低炭素建築物は、基準を満たした省エネ建築物を行政が認定する「制度」です。制度であるため、取得には性能基準の審査と必要書類を添えての申請、認定証の交付が必要となります。

ZEH・ZEBは、建築物の年間一次エネルギー消費量をゼロに近づける建物を指します。省エネと創エネを手段に、エネルギー消費量の削減をめざす建築物スペックと考えてください。

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)は、法律に基づく行政の「認定制度」そのものではなく、一定の性能水準を示す概念・定義として普及している枠組みです。

一方で実務上は、BELS評価やZEBプランナー登録制度などの評価・表示スキームと組み合わせて運用されることが一般的です。
そのため、施主やデベロッパーへの説明では、

  • 「どの制度に基づく認定なのか(低炭素・長期優良など)」
  • 「どの評価で性能を証明するのか(BELS・CASBEEなど)」

を整理して提示すると、制度の混同を防ぎやすくなります。

金銭的インセンティブの付与方法

省エネ性能の高い建築物の普及促進のため、低炭素建築物とZEH・ZEBは、ともに金銭的なインセンティブが用意されています。このインセンティブの付与方法も異なります。

低炭素建築物は、住宅ローン控除やフラット35Sの金利優遇などの税制優遇がメインです。一方、ZEH・ZEBには補助金が交付されます。2025年には、要件を満たすZEH水準の新築住宅に55万円/戸が補助されました。

※税制優遇(住宅ローン減税・登録免許税等)や補助金は、入居年/公募年度・予算枠・要件改定の影響を受けます。実務では、国交省・SII等の最新公表資料と、所管行政庁・審査機関の運用を必ず確認してください。

※ 参照:ZEH補助金サイトトップページ補助金制度・支援制度(環境省)|ZEBポータル

容積率計算で不算入にできる面積

性能向上計画認定を取得した建築物は、容積率不算入の特例を受けられます。不算入とできる容積率は、低炭素建築物とZEH・ZEBで異なります。容積率の不算入措置は、「ZEHだから」「ZEBだから」という名称に直接ひもづくものではなく、どの法律上の認定制度を取得するかによって上限が決まります。

  • 低炭素建築物認定(エコまち法)
    低炭素化に資する設備の設置等により床面積が増加する場合、
    延べ面積の1/20を限度として容積率算定から不算入とされます。
  • 性能向上計画認定(建築物省エネ法)
    省エネ性能向上設備について、
    延べ面積の1/10(上限10%)まで容積率算定から不算入とされます。

実務では、「ZEH水準にする」だけでは容積率緩和は受けられず、
該当する法制度の認定取得が必須である点に注意が必要です。

低炭素建築物と長期優良住宅の違い

高性能・高品質な住宅には、長期優良住宅という基準もあります。低炭素住宅と長期優良住宅の違いを、2つのポイントから解説します。

評価項目の数と設計への負担感

長期優良住宅認定制度の概要について(新築版)|国土交通省

低炭素建築物として認定を受ける際、基準を満たす必要がある項目は次の4つのみです。

・外皮性能

・一次エネルギー消費性能

・再エネ設備

・選択設備

低炭素建築物は評価項目が性能面に限定されており、設計の負担もさほど重くはありません。

ところが、長期優良住宅は戸建住宅で8項目、共同住宅では10項目もの基準を満たす必要があります。長期優良住宅には、低炭素建築物同等の省エネ性能の実現に加え、劣化対策や耐震性、維持保全のための計画まで策定が必要です。

適合証取得までに必要な期間

適合証の取得までにかかる期間にも違いが見られます。

低炭素建築物は、省エネ性能と低炭素化措置を審査すれば認定できるため、審査にかかる期間が短めの傾向があります。審査期間は、計画内容の複雑さ、審査機関の混雑状況、所管行政庁の運用によって変動します。
一般的には、長期優良住宅認定と比較すると短期間で進む傾向がありますが、案件によっては補正対応や追加資料の提出により日数が延びることもあります。

実務では、

  • 確認申請との並行審査可否
  • 補助金スケジュールとの整合
  • 金融機関への提出時期

を踏まえ、最低でも数週間のバッファを見込んだ工程管理を行うことが安全です。

一方、長期優良住宅は多項目を審査しなければならず、必然的に審査期間も長くなります。申請から交付まで、短くて1か月、混み合っていると2か月以上かかるケースもあります。

なお、低炭素建築物も長期優良住宅も、着工前の認定申請が必須です。

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【2026最新】低炭素建築物の優遇制度・緩和制度

顧客への説明や設計業務に役立つ、低炭素建築物向けの優遇制度や緩和制度を解説します。なお、住宅ローン減税と登録免許税の軽減措置(期間延長)は、2025年12月26日に閣議決定されました。関係税制法の国会審議と成立を経て、確定となります。

住宅ローン減税(延長措置)

住宅ローン減税等の住宅取得等促進策に係る所要の措置(所得税等)|国土交通省

新築・既存ともに、要件を満たす低炭素住宅は住宅ローン減税を受けられます。

控除内容借入限度額控除期間控除率
新築・買取再販4,500万円13年0.7%
既存3,000万円10年0.7%

子育て世帯の新築・買取再販住宅を対象に、借入限度額が5,000万円まで拡大される措置もあります。適用条件などの詳細は、国土交通省のホームページでご確認ください。

登録免許税の軽減

低炭素住宅は、所有権保存登記・移転登記の際の登録免許税の軽減措置が受けられます。軽減率は以下のとおりです。

本則一般住宅特例低炭素住宅
所有権の保存登記0.4%0.15%0.1%
所有権の移転登記2.0%0.3%0.1%

登録免許税の引き下げを利用するためには、対象の住宅が認定住宅である証明書の提出が必要です。「住宅用家屋証明書」を添付し、申請してください。

フラット35Sの借入金利引き下げ

低炭素住宅の省エネ性能は、フラット35Sの「金利A」プランの条件を満たします。当初10年間、年0.25%の借入金利引き下げが適用されます。

容積率緩和の活用法

低炭素住宅では延べ面積の1/20まで、蓄電池やコージェネレーション設備の接地面積を容積率に不算入とできます。この緩和制度により、本来なら居住スペースを削らなければ置けない設備を、居住面積を維持したまま設置できるようになり、設計の幅が広がります。

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低炭素建築物に関するQ&A

低炭素建築物に関して、よくある疑問にQ&A形式で回答します。

Q1. 低炭素認定申請と建築確認申請を同時に行いたい。提出書類を1つに兼ねることはできるか

A. 書類はそれぞれに必要

低炭素建築物の認定申請は、建築確認申請と同時に提出できます。ただし、1セットの書類を双方の申請に兼ねることはできません。それぞれに書類を準備する必要があります。

申請書類の準備が煩雑になるケースでは、申請手続きを外注する選択もおすすめです。

Q2. 低炭素建築物と長期優良住宅の両方の認定を受けられるか

A. 低炭素建築物と長期優良住宅の認定は併せて受けられる

ただし、税制の優遇制度は、どちらかを選択します。「所得税の特例は低炭素建築物の認定」「固定資産税の特例は⾧期優良住宅の認定」と、税目が異なる場合は併用も可能です。

Q3. 低炭素建築物の完了報告は必要か

A. 完了報告は必要

低炭素建築物の建築状況は、所轄行政庁から報告を求められる場合があります。また、検査済証の写しと工事写真を添付した工事完了報告も必要です。

まとめ

低炭素建築物は、設計者には容積率緩和のメリットが、顧客には税制優遇のインセンティブがある認定制度です。本記事の内容を、ZEH・ZEBや長期優良住宅との違いを顧客に解説するヒントにしてください。

複雑化する省エネ計算や申請業務、事務処理が設計業務を圧迫している場合、外注を検討しても良いでしょう。専門家による的確な計算と申請によって、計画通りの着工をサポートしてもらえます。

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